デジタル未来からの手紙

「サイバー空間とフィジカル空間が融合」--日本政府のAI戦略に見る未来 - (page 2)

林 雅之

2017-03-06 07:00

 人工知能の研究開発目標と産業化のイメージでは、社会課題と技術進歩の2つの軸でフェーズ3までの展開を示している。

 フェーズ3は、人の創造力を増幅し既成概念を超えたサービス・製品が次々生み出される社会の構築や、サイバー空間とフィジカル空間が融合して移動そのものが高付加価値化して移動機器の自動バージョンアップなどの周辺産業が発展する。健康・医療・介護の分野では、全ての人にセンサがつき、日常的に予防医療を実施することにより、健康長寿産業大国の達成といった展開だ。


出所:人工知能技術戦略会議(第4回) 2017.1.16

 AIの発展段階へのマッピング および人工知能の産業化のロードマップでは、(1)生産性、(2)健康/医療・介護、(3)空間の移動、(4)セキュリティの四つの分野を対象としている。

 【生産性分野】では、フェーズ2は、個人の生活の相談や要望に対応する「パーソナルライフコンシェルジュ」や消耗品の消費状況をみてAIが自律的に判断し注文をする「消耗品の自動補充サービス」の登場などにより、家電や家がAI化するロボットホームやAI住宅の動きも進むだろう。

 フェーズ3は、生産システムの自動・最適化やサービス産業の効率化・最適化、そして、物・サービスへのニーズとのマッチングによりハイパーカスタマイゼーションを実現する。これにより、ものづくり・流通・サービスの融合が進み、エネルギー・食料なども含めた社会全体としての生産性を高めた究極のエコシステムを構築する社会だ。

 前回の記事「AIやIoTによる「スマート農業」への道程--ロボット化で目指す“人手ゼロ」でも紹介したが、AI×農作業ロボットの利用による高付加価値農作物の提供による「スマート農業」のそう遠くない未来での実現が期待される。


出所:人工知能技術戦略会議(第4回) 2017.1.16

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