ロボット時代到来へ--新RPAサービスを発表したリコーの狙い - (page 3)

大河原克行

2017-03-03 07:45

 リコージャパン 取締役執行役員 ビジネスプロセス改革本部の飯沼満本部長は「案件別単価マスタ登録では、13ステップ中11ステップをRPAに置きかえることができた。1件あたり3分かかっていた作業時間を30秒に短縮し、ほとんどの作業をロボットで処理できるようになった。また、売掛金消込処理入金紐付け業務では、複雑な業務をどこまでRPA化できるかへの取り組みでもあり、52ステップ中35ステップと、全体の約7割をRPA化できた」とする。

 売掛金消込処理 入金紐付け業務は、リコーシャパンが取り扱う月間約35万件の請求案件のうち、約1割が自動消し込みできない処理となっており、これを84人のスタッフで対応してきた。「処理するための期間が集中したり、社内のさまざまなシステムと連携しながら確認作業を実施するといった煩雑さがあった。これをRPAの導入によって効率化を図ることができた」(リコージャパンの飯沼取締役執行役員)とする。

 Oracleをベースにして開発したリコーグループの共通経理システム「Cubic System」と、Excelによる「口座番号一覧データ」、社内コラボレーション基盤であるNotesのデータなどと照合しながら業務を進める部分も、RPAに置きかえることができたという。

 「2016年7~9月までの3カ月間にわたる6つの業務の試験運用の結果、入力系では81%もの工数削減、照合系では55%の工数削減、集計系では85%の工数削減が達成できた。業務を行うスタッフの間からも、RPAの効果を肌で感じるとの声が聞こえてきている」(リコージャパン ビジネスプロセス改革本部業務企画室・南雲敏明室長)という。

 これらの試験運用の結果をもとに、2016年12月から、順次、本番運用を開始しており、2017年4月からは対象業務をさらに拡大していく予定という。同時に東日本エリアの業務だけを対象にしていたものを、西日本エリアの業務にも拡大する。

 同社では、2017年度中に46業務、2018年度中に92業務、2019年度には137業務において、RPAを導入する計画だという。

 「2019年度末までに、ビジネスプロセス改革本部が担当している1157業務のうち、281業務をRPAに置きかえる計画だが、RPAの技術進化はますます加速する傾向にある。社内でのノウハウ蓄積も見込まれることから、これ以上のペースでRPAを導入していく可能性も高い。間接業務の効率化と人材の有効活用が可能になる」(リコージャパンの飯沼取締役執行役員)としている。

 リコージャパンでは、RPA関連企業が参加する一般社団法人日本RPA協会にも参加する意向であり、RPA を活用した業務改善の社内実践と、顧客向けRPAソリューションビジネスを組み合わせることで、RPAへの取り組みを加速。今後の事業成長における柱の1つに位置づけていく考えだ。

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