世界最高峰の人工知能学会「AAAI」では何が語られているのか(前編) - (page 2)

高柳慎一

2017-03-13 10:18

 私自身も自分の体組成・心拍数・歩数など、市販されているデバイスで簡易に計測できるデータは収集しはじめており、これらを徹底活用し、日々の行動をより良くしようと考えているため、このトピックは非常に興味深く拝聴することができました。

 招待講演(Invited Talk)の次は、より技術的な話に特化したテクニカル・トーク(Technical Talk)です。これは同時間帯に分野ごとに別れたおおよそ5~9本のことなる”講演トラック”から成っており、さらに各講演トラック内にこの講演トラックに関連した複数の講演が存在するという形になっています。

 ここでは私が参加したもののみになりますが、どのような講演が行われていたのかを簡単にですが紹介したいと思います。

推薦システム(Recommender Systems)のテクニカル・トーク

 ウェブ系のサービスでの機械学習活用といえば最もよく使われていると言っても過言ではない、推薦システムの講演トラックに参加しました。

 推薦システムは、日常生活においても大変目にする機会が多く、例えば最もよく目にするであろう表現を使うのであれば、“この商品を買った人はこんな商品も買っています” や ”この商品をご覧になった人はこんな商品もご覧になっています”という表現・表出形式で既にサービスの中に組み込まれ、実活用されています。

 「このような“既にサービスの中に組み込まれ、実活用されている”技術にはもう発展の余地はないのではないか」と考える読者もいるかもしれませんが、実はまさにこの分野も進化を遂げており、この一連のテクニカル・トークを通しその最前線を知ることができるのです。

 これらの講演の中では、例えば、協調フィルタリングと呼ばれるスタンダードな推薦手法の拡張が取り上げられていました。協調フィルタリングとは、多数のユーザーの商品の嗜好情報のデータから、あるユーザーと商品に対する好き嫌いの類似した他のユーザーの情報を用いて、自動的に推薦を行う手法の総称です。

 例えば、ユーザーAが商品Xを好むとすると、商品Xを好む別のユーザーBが好む商品Yを探し出し、ユーザーAもアイテムYを好むのではないか、という計算を機械的に行うようにするのです。

 実際に行う際にはユーザー、または商品同士の何らかの意味での“似てる度合い(類似度)”を計算することにより算出しています。ここのテクニカル・トークではこの”類似度”の計算方法をいかに改良し、そしてよりよい推薦システムとするのかについての研究が報告されていました。


MIT Media LabのRosalind Picard教授によるトーク(筆者提供)

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