そして3つ目の情報共有/ワークスタイル変革については、同社でも2014年10月から「働き方改革」に取り組んでおり、そのノウハウを顧客企業に提供していく構えだ。藤田氏はこの取り組みについて、「働き方改革は、利用シーンや人との関わりなどの業務領域、オフィスや外出先、在宅勤務といったワークプレイス領域、そしてICT領域の3つを最適な形で整備していく必要がある。そうした観点から、当社で蓄積したノウハウをお役立ていただけるようにしたい」と語った。
顧客企業の経営課題におけるICT投資検討分野
藤田氏がスピーチを通して訴えていたのは、まさしく「企業の経営課題にICTで応えたい」ということだ。言われて久しいことだが、経営は常に変化するだけに永遠のテーマでもある。今年4月から同社の経営の舵を取る藤田氏の手腕に注目しておきたい。
「変わりつつある老舗企業で思い切ってチャレンジしたい」
(シトリックス・システムズ・ジャパン 青葉雅和 カントリーマネージャー)
シトリックス・システムズ・ジャパンのカントリーマネージャーを務める青葉雅和氏
シトリックス・システムズ・ジャパンが先ごろ、米Citrix Systemsの幹部も来日してグローバルおよび日本の事業戦略について記者説明会を開いた。冒頭の発言は、同社のリージョナルバイスプレジデント兼カントリーマネージャーに2月18日付けで就任した青葉氏が意気込みを語ったものである。
シトリックスは会見で、同社の製品をクラウドサービスとして利用できる「Citrix Cloud」を国内で提供開始すると発表した。これにより、デスクトップ仮想化ソフト「XenDesktop」やアプリケーション仮想化ソフト「XenApp」などをSaaSモデルで利用できるようにした。
会見の詳しい内容は関連記事をご覧いただくとして、ここでは青葉氏の発言に注目したい。同氏は、日本IBMに10年、シスコシステムズに14年在籍し、2008年より直近までの9年間はブロケードコミュニケーションシステムズの代表取締役社長を務めていた。本人曰く「IBM時代も含めてほとんどネットワーク畑にいたので、今回コンピューティングの世界にきて違和感がある」とのことだが、それを逆手にとって「私自身、新しいチャレンジなので非常にエキサイティングしている」と意気込みを語った。
また、「シトリックスのソリューションは、これまでどちらかというとポイントプロダクトだった印象がある。私としては今回発表したCitrix Cloudをはじめとして、プロダクトやサービスをトータルソリューションとしてお客様にお届けできるように注力していきたい。そのために、日本法人の営業組織もこれからは業種別を明確にしてきめ細かいニーズに対応していく考えだ」との姿勢も明らかにした。(図参照)
青葉氏が打ち出した営業組織と注力分野
実は、Citrixは2015年に大規模なリストラを実施し、一時は売却話も出ていた経緯がある。あえてその点を持ち出して、会見後、青葉氏に「現職就任にあたって葛藤もあったのでは」と水を向けたところ、即座に「それは過去の話。2016年は復調している」とし、続けて語ったのが冒頭の発言である。キャリア豊富な同氏の経営手腕で老舗企業が日本でも活気を取り戻すか、注目しておきたい。