ビジネスのデジタル化が注目される昨今、日本企業の最高情報責任者(CIO)らは取り組みが遅れている状況に危機感を抱いていることが、日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)の調査で判明した。メディアで取り上げられる一方で、ユーザー企業に関する情報があまり無いとの意見も出ている。
JUASが3月1日に公表した「デジタル化の進展に対する意識調査」(速報値)は、会員企業のCIOやIT部門長など208人の意見を、JUASが野村総合研究所の協力で取りまとめた。4月に正式なデータや分析結果をまとめたダイジェスト版を報告するとしている。
まず、デジタル化の進行が既存ビジネスに破壊的な影響をもたらすか、という質問では「その通りだと思う」(35.1%)や「ある程度そう思う」(38.9%)との回答が大半を占め、一過性のブームと捉えている回答者はわずかだった。欧米企業と比べた日本の対応状況では、「圧倒的に遅れている」(39.4%)や「多少遅れている」(50.0%)と、9割近い回答者が日本の遅れぶりを挙げている。
デジタル化の影響意識(出典:JUAS)
欧米との比較(出典:JUAS)
デジタル化が自社のビジネスに与える影響の度合いについては、「破壊的な影響をもたらす可能性がある」が24.0%、「ある程度は影響する可能性がある」が70.7%だった。また59.4%の回答者は、デジタル化の進展で新たな競合が業界の外から出現すると答えた。
他社と比べたデジタル化への取り組み状況は、「あまり進んでいない」「かなり遅れている」が65.9%に上る。一方、「かなり進んでいる」「ある程度進んでいる」は27.4%だった。
デジタル化の影響を大きく受けるもの(複数回答)では、多い順に「商品・サービス形態」(70.2%)、「ワークスタイル」(66.8%)、「意思決定」(61.1%)、「顧客接点対応」(58.7%)が挙げられている。