米景気回復の勢いが増している
先週、米景気の現状をよく表すものとして注目が高い、2月のISM景況指数が発表になった。製造業と非製造業はともに一段と改善が進んでいた。
ISM製造業景況指数:2014年1月~2017年2月

(出所:米ISM供給公社)
製造業景況指数は、2015年末から2016年初めにかけて景況の分かれ目と言われる50を割り込んだ。(1)原油急落を受けて石油関連産業が悪化したこと、(2)ドル高の影響で輸出産業が悪化したこと――が影響した。
2016年の後半からは、米製造業の景況は改善し、2017年に入ってから回復が加速している。
トランプ大統領は、大統領選挙期間中に「米製造業を苦しめるドル高」と「ドル高を招く利上げを実施する米FRB」をしきりに批判していた。ところが、大統領に当選してからは、FRBの利上げに対して特にコメントしていない。製造業の景況が非常に良くなってきているので、利上げを批判する理由がなくなっていると考えられる。
利上げを実施したい米FRB幹部には「製造業の景況が良く、トランプ大統領があまり利上げに対して文句を言わない」今こそ、利上げをする絶好のチャンスと映っているかもしれない。
トランプ大統領は選挙期間中に円安もしきりに批判していた。今、円安を直接批判するコメントをしないのも、米製造業の景況が良くなっていることが影響していると思われる。
米製造業の景況が悪化すれば、トランプ大統領は、再び米利上げ・円安を批判し始めると思われるが、当面は利上げを容認すると考えられる。以下の通り、2月は非製造業の景況も改善している。
ISM非製造業景況指数:2014年1月~2017年2月

(出所:米ISM供給公社)