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Rethink Internet:インターネット再考

無数の糸が織り成すテキスタイルとしてのインターネット(後編) - (page 2)

高橋幸治

2017-04-02 07:00

一人一人のテキストがテキスタイルとなり、テクスチャを生む

 宣伝めいてしまっていささか恐縮だが、先月リリースされたばかりの書籍『メディア、編集、テクノロジー』(クロスメディア・パブリッシング)の中で、筆者は“インターネットは結局のところ偉大なるテキストメディアなのではないか?”という問題提起をしている。

 上述のWeaveされたウェブのイメージと同様、私たちが日々インターネットにアップロードする無数のTextは相互に編み合わされることによってTextile=織物となり、その時々の言説の傾向によって特定のTexture=質感を現出させるに至る。


1月27日にリリースされた電子版に続き、2月16日にペーパーバック版も発売された筆者の著書『メディア、編集、テクノロジー』(クロスメディア・パブリッシング)

 しかも、編み合わされる糸は材質も色彩も寸法も異なっているわけだから、そこには思いも寄らない模様、肌理、凹凸をも表出させるだろう。さらにこの編物は休止することなく延々と継続されるので、世界に立ち現れるTextureは生々流転、千変万化のていで移ろい続ける。

 これまで当然のごとく受け入れられてきたインターネットのイメージモデルをバージョンアップさせること……。WWW25年を経てインターネットの第二四半世紀に生きる私たちにとって、旧来のインターネットの概念の刷新は急務となるだろう。

 今回はたまたまティム・インゴルドの『ラインズ 線の文化史』を引き合いに出したが、インターネットの新しい捉え方にはまだまだたくさんのモデルを構想できるはずである。


博物学者の南方熊楠が仏教学者の土宜法龍に宛てた書簡の中に描いた「南方曼荼羅」(引用元

 曲がったり歪んだり、たわんだりしながら、始めも終わりもなく永遠に編みつづ得られる織物としてのインターネット……。この三次元的かつ非直線的なイメージモデルは、ひょっとするとインターネット以前にフランスの思想家ジル・ドゥルーズとフェリックス・ガタリが提出した「リゾーム(地下茎)」の概念や、博物学者の南方熊楠が仏教学者の土宜法龍に宛てた書簡の中に描いた「南方曼荼羅」に近いものかもしれない。

 インターネット第二四半世紀にふさわしいイメージモデルのヒントは過去の歴史の中に豊富に埋蔵されているのだろう。次回も引き続きインターネット第二四半世紀のイメージモデルを模索していくつもりである。

高橋幸治
編集者/文筆家/メディアプランナー/クリエイティブディレクター。1968年、埼玉県生まれ。日本大学芸術学部文芸学科卒業後、1992年、電通入社。CMプランナー/コピーライターとして活動したのち、1995年、アスキー入社。2001年から2007年までMacとクリエイティブカルチャーをテーマとした異色のPC誌「MacPower」編集長。2008年、独立。以降、「編集=情報デザイン」をコンセプトに主にデジタルメディアの編集長/クリエイティブディレクター/メディアプランナーとして企業のメディア戦略などを数多く手がける。本業のかたわら日本大学芸術学部文芸学科、横浜美術大学美術学部美術・デザイン学科にて非常勤講師もつとめる。「エディターシップの可能性」を探求するセミナー「Editors' Lounge」主宰。著書に「メディア、編集、テクノロジー」(クロスメディア・バブリッシング刊)がある。

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