オープンソース利用管理ソリューションを提供するBlack Duck Softwareが、「2016 Black Duck Open Source Rookies of the Year」を発表している。2016年にスタートしたオープンソースプロジェクトを対象とする今回のアワードでは、ブロックチェーンからディープラーニングに至るまでのさまざまな分野から優れたプロジェクトが選ばれた。
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オープンソースプロジェクトは、今日普及しているアプリやソフトウェアパッケージ、オンラインサービスの多くを支える基盤的存在となっている。
ベンダーがオープンソースコミュニティーに向けてリリースしたコードは、ライセンス制限が撤廃されており、他のシステムに組み込むことが可能だ。エンドツーエンドでの暗号化メールのやり取りを目的とするGoogleの「E2EMail」から、クロスサイトスクリプティング(XSS)脆弱性を走査するNetflixの「Sleepy Puppy」に至るまで、オープンソースの開発プロジェクトは活気にあふれており、膨大な数の開発者が毎月、コードの改善やバグの発見のために自らの時間を投じている。
オープンソースプロジェクトのなかには、何年も前から続いてきているものもある一方、IT分野の発展にともなって新たな領域が開拓されてきている。
Black Duckの年次アワードとして9回目となる今回は、新たな優良オープンソースプロジェクトとして、ブロックチェーンや、データベース上のデータのアナリティクス、ディープラーニング、ネットワークのアジリティ、コンテナの煩雑さの解消、ネットワークのセキュリティ、教育関連技術に関するものが発表された。
今回の受賞プロジェクトは以下の通りだ。
- 「Sawtooth Lake」(ブロックチェーン):これは、ブロックチェーン技術の発展を目指す「Hyperledger Project」において、Intelが新たに提唱した分散型台帳プラットフォームであり、既存のブロックチェーン技術をベースにしてスケーラビリティやセキュリティの向上を目指している。
- 「CarbonData」(ビッグデータ):これはコンピュータリソースのより効率的な利用を目的とした、データの組織化や、多層インデックス化、最適化に対する新たなアプローチだ。
- 「Deep Scalable Sparse Tensor Network Engine:DSSTNE(デスティニー)」(ディープラーニング):デスティニーは、データのスパース性とスケーラビリティを念頭に置いたニューラルネットワークの開発とともに、マルチGPUの最適な活用に注力している。
- 「OpenCORD」(ソフトウェア定義ネットワーク:SDN):これはSDNとネットワーク機能仮想化(NFV)、クラウドを、コモディティ化されたインフラと組み合わせることで、データセンターグレードのスケーラビリティとアジリティをベンダーにもたらすエンドツーエンドのソリューションだ。
- 「Poseidon」と「Trireme」(ネットワークセキュリティ):Poseidonプロジェクトによって、ネットワークに追加/削除されたものや、生成されたトラフィックの状況を把握できるようになる。またTriremeによって、エンドツーエンドの認証と権限付与を通じたセキュリティポリシーの作成が可能になる。
- 「Ansible Container」(コンテナ):Ansible Containerは、Ansibleの開発チームが「Docker」ファイルの代替を追い求めた結果、行き着いたものだ。これにより、Ansible Playbookのみでコンテナのビルドや配備、管理といったプロセスを自動化できるようになる。
- 「Kolibri」(教育関連技術):Kolibriの目的は、限られた教育リソースしか利用できない地域の生徒や教師に学習リソースを提供することだ。
Black Duckの製品管理ディレクターであり、Open Source Rookies of the Yearの選考委員長を務めているPatrick Carey氏は「2016年の選考では、オープンソースソフトウェアの開発がいかに多様化し、そしていかに野心的になっているかが示された。コミュニケーションからヘルスケアなどに至るまでのさまざまな分野で、コンシューマーやエンタープライズグレードの多様な問題に対する革新的なソリューションを提供している」と述べている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。