米Rimini Streetは、ドイツのSAPと米Oracleのソフトウェアの保守を代行している企業だ。
Rimini Streetで最高経営責任者(CEO)兼取締役会長を務めるSeth A.Ravin(セス・ラビン)氏は、同社の保守サービスを活用すれば、これらのソフトウェアベンダーが提供する正規の保守サービスに比べて「コストを50%削減できる」としている。また、利用中のソフトウェアをアップグレードしなくても、最低15年間は保守サポートを提供する。
Rimini Streetで最高経営責任者(CEO)兼取締役会長を務めるSeth A.Ravin氏
また、保守料を削減できるだけでなく、SAPやOracleの通常の保守サービスには含まれない、アドオン開発やカスタマイズ開発を適用した部分についても、米Rimini Streetでは保守サポートの対象とする。また、今使っているソフトウェアをアップグレードしなくても、最低でも15年間は保守サポートの対象とする。
これらの効果で、運用コストを90%削減できるというのがRavin氏の見解だ。「契約2年目のある日本企業は今後5年間で1億ドルを削減する。SAPとOracleが占有する保守の市場を我々が切り開いた」(Ravin氏)
「これまでは、SAPとOracleがエンタープライズITの保守市場を専有していた。米Rimini Streetによって、閉じられていた扉が開かれた」(Ravin氏)
Oracleとの訴訟を越えて
ただし、ここまで順風満帆だったわけではない。2010年にOracleが「第3者保守は違法」との訴訟を起こし、2億4500万ドルの損害賠償の支払いを求められた。Oracleが主張したいくつかの具体的な項目のうち「Rimini Streetが顧客のサーバを預かって運用している点」「Oracleのウェブサイトからパッチが自動ダウンロードできるようにしていた」という2つの点については、裁判でも著作権侵害などの違法性が認められ、2015年にそれぞれ3000万ドル、2000万ドル程度、合計5000万ドルの支払いを命じられた。
日本リミニストリートのカントリマネージャー、脇阪順雄氏は「既に支払いを終え、上記2点についても既に対応を終えている」と話す。顧客のサーバを預かるのではなく、リモートで保守する形式にし、パッチについては顧客がマニュアルでダウンロードするように変更した。「これで項目としての懸念点がなくなった」とし、今後の成長を模索する考えを示している。
問い合わせに15分以内で応答、担当エンジニアが直接対応
Rimini Streetは、ユーザーからの問い合わせに対して15分以内で応答することをSLA(サービスレベル契約)で保証するなど、新たなサポートモデルを構築している点も特徴。元々は、30分以内に応答することを保証していたが、2016年8月にSLAを更新し、15分以内とした。「平均すると5分以内に応答できている」(Ravin氏)
「ユーザーはまず保守料の削減に魅力を感じるが、その多くがサポートモデルを理由に保守サービスを更新してくれる」とRavin氏は言う。
従来のサポートモデルは、問題発生時にコールセンターに電話をかけ、解決できない場合は上位の担当者へとエスカレーションしていく、というもの。Rimini Streetでは、このやり方を変えた。
Rimini Streetにはコールセンターは存在せず、エンジニアが直接ユーザーを担当する。すべてのやり取りは、ユーザーとエンジニアが直に実施する仕組みとした。規模が小さいユーザー企業でも、エンジニア1人が担当するユーザー数は10社までだ。