ノークリサーチは3月6日、IoT導入の訴求ポイントに関する調査・分析結果を発表した。
IoTソリューション導入をユーザーに促す場合、「製造機器の予防保守」よりも「製造工程の効率化/省力化」を優先させる方がユーザーの投資意向は高まることが分かった。
この調査・分析は、具体的なIoT活用シーンを定義し、それらに対するユーザ企業の投資意向や投資予定金額などをアンケート調査した「2016年版スマートデバイス/PCから見たIoT活用の実態と展望レポート」 での結果に基づいている。
このレポートは、年商500億円未満の企業700社に対して実施されたもの。ノークリサーチでは、この結果にベイジアンネットワーク分析を適用し、IoT投資意向を左右するユーザ企業の意思決定における潜在的な関連性を分析している。
潜在的な関連性は、アンケート調査で示された、4つのIoTの活用シーンに対する回答者の投資意向と、「製造装置の予防保守よりも製造工程の効率化/省力化の方が重要」「仮に安価に実現できたとしても、他社とは製造工程を共有したくない」といった項目に対する回答者の意向を利用する。確率推論モデルを用いてそれぞれの影響度を考慮した関係図を作成して分析した。各項目は、それぞれ回答結果に合わせた確率値が設定されている。
この関係図の中で、「製造装置の予防保守よりも製造工程の効率化/省力化の方が重要」という項目に「1」という値を入れて、他の項目にどういう影響が出るかを分析したところ、値を入れていない状態と比べて4つのIoTの活用シーンに対する回答者の投資意向の数値が上がったという。
同様の方法で、「製造装置がネットワークで繋がることによるセキュリティリスクが不安」という項目の数値を「1」と設定すると、値を入れていない状態と比べて4つのIoTの活用シーンに対する回答者の投資意向の数値は下がった。
このことから、ノークリサーチでは、ITソリューションを訴求する側にとっては、IoTのセキュリティリスクを早期に啓蒙するという施策も有効だが、製造工程の効率化/省力化を優先的に訴求するほどの効果は期待できないとしている。