Adobe Systemsは2月24日、2016年6月に発表された「クラウド署名コンソーシアム(Cloud Signature Consortium)」の規格を元に、世界初とするオープンスタンダードに準拠したクラウドベースの電子署名プラットフォームの公開を発表した。
このプラットフォームは、Adobe Document Cloudと新機能を搭載したAdobe Signをベースにしたもの。医療関係の各種書式、ローン申請書など重要文書に使われる電子署名を、あらゆるブラウザやモバイルデバイスで利用できるようになる。
Adobe Signは署名や承認だけでなく、エンドツーエンドのビジネスワークフローの作成を可能にするソリューション。スマートフォンのカメラを使って紙の文書をスキャンし、迅速かつ簡単にデジタル化して共同作業や電子内容確認のために送信、Microsoft SharePointなど広く普及しているシステムと連携できる。
新機能の追加は、文書ルーティング、オンラインプロセス、SharePointとの連携などで実施された。
文書ルーティングでは、職場での設備要望書や患者の問診票などサインの必要のない簡単なフォーム類への記入を依頼できるようになる。また、重要な契約条件、ポリシーの変更を通知でき、受取人が法的通知、契約条件の変更といった文書を確認、承認したという証明が必要な場合には、内容確認付きの送付を行うことができる。
オンラインプロセスでは、新しい銀行口座の開設、融資の申込み、福利厚生の管理などワークフローが複雑な手続きに、これらのプロセスを最初から最後までデジタル上で管理できるようになった。それぞれの状況に合わせて詳細なドキュメントを自動的に作成、送信、返送できるほか、カスタムダッシュボードによってすべての過程をリアルタイムに追跡できる。
SharePointとの連携では、Adobe SignをSharePointのワークフローに追加でき、他の人へのサインの依頼や、作業進捗の追跡、文書のアーカイブといった作業のすべてを安全かつ容易にSharePoint内で完了できる。
また、モバイルによる電子サインの利便性向上では、Adobe Signモバイル版アプリを使用して、印刷されたページをスキャンして送信する際、機械学習、AIなどを活用したインテリジェントサービス「Adobe Sensei」の高度な画像処理機能を利用できる。これにより、スキャンした文書を自動的に切り抜き、補正、テキストを鮮明化できるようになり、PDF上に電子サインを簡単に付与できるようになった。
さらに、モバイルでの文書の読み込みでは、ピンチやダブルタップなどの操作でテキストサイズの変更、5段階のズームが可能になった。ホーム画面でのモバイルトラッキングでは、新たに開発されたトラッキングウィジェットにより、署名プロセスに進捗があると、モバイルデバイスに通知が表示される。これによりAdobe Signモバイル版アプリを起動することなくホーム画面からリアルタイムで署名の追跡管理を行うことができる。