Microsoftは米国時間3月8日、ARMベースのプロセッサを搭載するサーバで「Windows Server」を動作させる試みを進めていることを認めた。しかし、この発表が行われるまでの過程には分かりにくい部分が多かった。
いくつかのプレスリリースから不明な点が取り除かれたあと、Microsoftは公式に、Intel、AMD、および2社のARMプロセッサメーカー(QualcommおよびCavium)と協力して、Open Compute Projectに提供した次世代クラウドハードウェアの設計「Project Olympus」をサポートする取り組みを進めていることを明らかにした。Microsoftはまた、同社が複数のARMメーカー(Qualysを含む)と協力して、社内データセンターでの利用限定で、ARMアーキテクチャ上でWindows Serverを動かそうとしていることを発表した。
MicrosoftがOpen Compute Project Summitで行ったプレゼンテーションは、こちらから参照できる。(@h0x0d氏に感謝する)
筆者は、今回の発表に関してMicrosoftにいくつかの質問を送り、回答を得た。以下では、Microsoftの広報担当者による質問への回答を紹介する。
--ARM版Windows Serverは、今後社外のパートナーや顧客に提供されますか。提供されるとすれば、いつですか。
ARM64で動作するバージョンのWindowsは社内利用専用であり、ARMサーバ上で動作する「Azure」サービスを評価するためのものです。将来のロードマップ計画に関して発表できる情報はありません。
--Microsoftがデータセンター内のARMサーバでWindows Server(AzureやAzure Stackではなく)を使用しているのは、AzureやAzure Stackが(Intelのみでしか動作せず)ARM上では動作しないからですか?
現在のAzureはWindows Server上で動作します。今回の取り組みにより、一部Azureサービスの提供プラットフォームとしてのARM64を、社内で評価することが可能になります。
--今回の発表に関して、Caviumの果たす役割は何ですか。
CaviumはMicrosoftが社内のデータセンターに導入可能な、Project Olympus準拠のマザーボードを開発しました。
--MicrosoftはなぜARMでWindows Serverを動かそうとしているのですか。これは、ARMがIntelのプロセッサよりもより電力効率が高いからですか。Microsoftが、自社のデータセンターに複数のチップメーカーを参入させた方がよいと考えているからですか。データセンターのコンピューティングにおいて、Intelプロセッサの性能に不満があるのですか。
複数のARMサーバベンダーによる健全なエコシステムは、コアやスレッドカウント、キャッシュ、インストラクション、接続オプション、アクセラレータなどの技術的な機能に関する積極的な開発を促します。また、ARMにはハイエンドの携帯電話ソフトウェアスタックの恩恵も受けている、確立されたARMの開発者とソフトウェアのエコシステムが存在します。