ドローンを操るソフトウェア--土木測量、収穫判断を実現するテクノロジ - (page 3)

神原奨太(テラドローン)

2017-03-24 07:00

 テラドローンはTerra Mapperというソフトで、土木測量・点検・農業分野の画像解析クラウドサービスを提供している。特に土木測量領域で、従来それぞれの専門ソフトが担っていた自動航行、データ処理・解析、結果の出力や共有までを統合的に提供することで、ICT化が進んでいる土木建設現場のドローン活用を促進している。特に現場で写真を撮影する段階から、アウトプットの提供までを工数少なく実施できる、汎用的なソフトウェアである。


テラドローン社提供

 テラドローンは既存事業で多くのクライアントを抱える建設業界において、企業規模にかかわらず幅広くサービスの展開を開始している。

 3Dsurveyはスタンドアロン型のソフトであることを活かして、より「解析」の部分に強みを発揮している企業だと言える。一般的に写真から点群(cloud point)を生成して、地表面を解析するのだが、3Dsurveyのソフトを利用すれば、点群そのものを任意に編集できるため、ユーザーはマップ上における不要物の除去などを自由に実行できる。このような処理は高度な処理能力を必要とするため、スタンドアロン型が持つ強みであると言える。


 このような「マッピング・画像解析ソフト」の一番の利点は今までマニュアルで実施していた、さまざまな業務をほぼ自動的に実施してくれることである。ドローンはあくまでも既存の業務を効率化する目的で産業利用が始まった段階であり、「その習熟のために時間を割くようなら乗換えない」という考え方も実際にはある。

 ドローン分野のソフトウェアの重要なポイントは、普段ドローンばかりを使っているわけではない顧客が「簡単」「安い」「早い」サービスを享受できることだろう。

 さらにこれらのサービスの過程で、低空域から撮影した高精度の画像が大多数蓄積される。今はまだ技術的にもニーズ的にも難しい面はあるが、ゆくゆくはこうした画像のビックデータ解析や分析が、新たな利用用途として出現するかもしれない。

 現行のマネタイズモデルは、顧客ニーズに合わせてマッピングしたデータをアウトプットとして提供することで月額・年額課金するのが一般的だが、今後は蓄積されたデータの解析・販売や他の方法も出てくるだろう。

 これはまさに、IoT時代のデジタルとアナログの融合の一例と言える。「土地」というどこまでもリアルなものをデジタル化し、提供・蓄積・管理することが新しいビジネスにつながれば、ドローン産業もさらに多様化していくだろう。

神原 奨太
テラドローン株式会社 事業開発部 UTM(無人機運行管理システム)事業責任者
早稲田大学政治経済学部を卒業後、アクセンチュア株式会社入社。アクセンチュアストラテジー(戦略コンサルティング本部)にて、政府・国内外の民間企業の戦略策定・新規事業立案・業務改革に従事。2016年よりテラドローンの設立に参画。同年後半より現職。ドローン業界全体の国内外の情報を体系化し、テラドローンにおける戦略策定も兼務。ドローンビジネスを展開している。

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