2.あらゆることに使われるオンデマンドIT
CIOコンサルタントのAndrew Abboud氏によれば、クラウドの未来は、オンデマンドITに対する先入観と密接につながっている。「はっきりさせておくが」と同氏は説明する。「事業部門の役員はクラウドを話題にしていない。彼らはテクノロジそのものには関心がなく、直面しているビジネスの課題を解決したいだけだ」
CIOはIT業界の過剰な売り込みが障害にならないようにする必要がある。「われわれは技術者として、チャンスに集中すべきときに、流行にこだわる」とAbboud氏は言う。「組織にはそれぞれ違いがあり、すべての企業は、自分の会社がクラウドからどのようなメリットが得られるかを理解する必要がある」
CIOが支援することで、組織の各部門が実施の方向性を定められれば、あとは単に組織がオンデマンドITの利用をどこまで進められるかという問題になる。「最近では企業全体でオンラインサービスに移行する動きが目立っており、将来的にはどこまで浸透させるかが問題になっていくだろう。ほとんどの場合は、すべてにクラウドを使えばいいという話になる」
Abboud氏は、今後も、情報セキュリティやレガシーアプリケーションの移植などの懸念は残ると認めている。しかし、それらの課題は効果的に克服できるはずだという。「外部のクラウドプロバイダーが社内のデータセンターよりも安全だという論理を受け入れるなら、ビジネスのできるだけ多くの部分をクラウドに移すべきだという話になる」とAbboud氏は述べている。
「特に金融部門などではレガシーアプリケーションが問題になるかもしれない。しかし、あらゆる産業は、困難でも自らを少しずつ変えていくしかない。CIOは今後COBOLの専門家がいなくなっていくという事実を認め、いますぐその変化に対処する必要がある」(Abboud氏)
3.リアルタイムマーケティングとセールスコミュニケーションを強化
熟練した最高マーケティング責任者(CMO)であるSarah Speake氏は、クラウドコンピューティングはマーケティング担当者にとって歓迎すべき新たなデジタルツールだと述べている。多くのアナリストが、分散購買時代のCIOとCMOの役割に関する調査に時間を費やしている。Speake氏は、クラウドの次のフロンティアには、オンデマンドITから最大のメリットを引き出せるようにするために、CMOがマーケティング部門をいかに支援できるかというテーマがあると述べている。
「経営陣は、マーケティングチームがクラウドベースのアプリやツールを使いこなして、スピード、効率、透明性を上げるためのスキルを身につけられるよう、全体として責任を負うべきだ」と同氏は言う。ITVとGoogleのマーケティング部門で上級職に就いていた経験を持つ熟練したCMOであるSpeake氏よれば、クラウドベースのシステムは、マーケティング担当者が危険のある前提に従って活動するのを防ぐために役立つという。