ヘルスケア領域では在宅介護と潜在看護師のマッチングに取り組む
医療費の抑制を掲げ、在宅医療にも取り組む。「医療費は年間44兆円かかっている。いずれは78兆円になる。病院だと1人当たり48万円かかるが、在宅医療なら1人当たり16万円で済む」(宇陀氏)。ただし、在宅医療は家族が「共倒れ」になるリスクがあるので、これを支援する仕組み作りが重要になるという。
在宅医療の仕組みを考える上では、IT人材が医療を学ぶよりも、医療人材がITに入ってくる方がよい。IT人材が医療に詳しくなろうとしても無理があるからだ。ユニファイド・サービスでは、医療法人社団鉄祐会 祐ホームクリニック理事長の武藤真祐氏が手がける在宅医療への取り組みを支援する形で、在宅医療のクラウドサービスに参画した。
ユニファイド・サービスが提供しようとしている医療分野のクラウドサービスの1つが、離職中の潜在看護師と在宅看護をマッチングさせるサービス。例えば、医師による遠隔医療と組み合わせ、注射など何らかの処理が必要になった際に、近くにいる看護師をスポットでマッチングさせる。「結婚や育児や介護などで離職している看護師がいる。空いている時間にやってもらう」(宇陀氏)
2020年の東京では「日本の食」を世界にアピールしたい
宇陀氏は、ユニファイド・サービスの取り組みとは独立して、公益社団法人 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会のチーフ・テクノロジー・イノベーション・オフィサーの任に就いている。
宇陀氏はまず、オリンピックの経済効果に期待を寄せる。「1964年の東京オリンピック当時と比べると、人口の増加は30%ほどだが、GDPは18倍に増えた。オリンピックが良いきっかけになった。現在のGDPの500兆円に対し、2020年のオリンピックでは2兆円の投資で100兆円の経済効果も夢ではない」(宇陀氏)
「スポーツだけでなく、日本を世界中に伝える良いきっかけにしないといけない」と宇陀氏は言う。特に食が重要と宇陀氏は考えている。「ミシュランガイドの星の数は、世界全体で東京が1位。2位が京都で、3位がパリ、4位が大阪、5位がニューヨークだ」(宇陀氏)
「先日、牛丼大手企業のお店で定食を食べた。衛生的で、美味しくて、安い。東京を訪れた人に、日本の食事はすごくうまいと思わせたい。オリンピックでも、選手村のレストランの周辺で、牛丼やラーメンや餃子などを出したい」(宇陀氏)
「テクノロジだけがイノベーションではない。新しい発想がイノベーションだ。日本の食は輸出できる」と宇陀氏は力説する。「海外で目玉焼きを頼んだら、すごい不味そうな料理が出てきた。美味しい食事を経験させてあげたいな、という気持ちが正直ある」(宇陀氏)。