IBMが3月19日より米ラスベガスで開催中のイベント「IBM InterConnect 2017」、20日の基調講演では顧客数社が登場し、コグニティブ技術「IBM Watson」を統合したIBMのパブリッククラウド「IBM Cloud」の魅力を語った。
まず冒頭、IBM Watsonの自然言語処理機能により、嫌がらせ行為対策に役立てているとTwitterのデータ戦略担当バイスプレジデント、Chris Moody氏が語った。
続いて紹介されたAmerican Airlinesは、自社の顧客向けサイト(AA.com)、モバイルアプリ、キオスクアプリケーションをIBM Cloudに動かし、より快適な新しい顧客体験の構築を図っているという。
IBM Researchのディレクター兼Hybrid Cloud担当シニアバイスプレジデントのArvind Krishna氏に招かれて登場したAmerican Airlinesの顧客技術とエンタープライズアーキテクチャ担当バイスプレジデントのDaniel Henry氏は、デザインシンキング、DevOpsなどを利用することで、迅速に進めることができたと明かす。「パブリッククラウドにコミットしている。デリバリーを加速したいが、ここでIBMは最善のパートナーだ」とHenry氏はIBMと組んだ理由を語った。
American Airlinesの顧客技術とエンタープライズアーキテクチャ担当バイスプレジデントのDaniel Henry氏「(クラウドについて)話すだけではなく、我々は迅速に展開している」と語った
モバイルとフリーミアムがゲーム業界を変えたーーデータが重要に
航空業界もデジタル化と競争激化により体験の改善が急務であるなら、ゲーム業界も環境が大きくしている産業だ。子供の頃からゲーム好きだったというJames Gwertzman氏(PlayFabのCEO兼共同創業者)は、インターネット、そしてスマートフォンなどモバイルデバイスの普及により、これまでのゲーム開発ではダメだと気がついた1人だ。
PlayFabのリアルタイムモニタリング機能。「データはライブゲームの大動脈」とCEOのJames Gwertzman氏
「これまではゲームを開発することにフォーカスしていたが、現在ゲーム会社はどこもゲームをサービスとしてオペレーションすることに注力をシフトさせている」とGwertzman氏。常時オン、そして無料でインストールして追加で課金するフリーミアムモデルの普及により、オペレーションが重要になったのだ。重要なのはデータだ。「ゲームはこれまで、アートとコードだった。現在は、アート、コード、そしてデータが重要。データはライブゲームにとって大動脈だ」と語る。
そのような変化を目の当たりにして創業したのが「PlayFab」だ。ゲーム開発者が必要とするバックエンドプラットフォームを提供、作業とコストを削減することでゲーム開発者は開発に集中できる。PlayFabは自社のサービスを”LiveOps”としており、ここでIBMのWatson Data PlatformとIBM Cloudを統合した。
これによりPlayFabの顧客はIBM Cloud、それにWatsonのパワーを利用できる。これをGwertzman氏は「データサイエンスの民主化」とした。「ゲーム開発者は膨大なデータから意味ある洞察を引き出すことができる」という。