日本株展望

地味でも何か光るところがある最高益更新企業

ZDNet Japan Staff 2017年03月23日 11時50分

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今日のポイント

  1. 今週に入ってから日経平均が急落したが、日本の景気・企業業績の改善傾向は続くと考えているので、ここからの下値リスクが大きいとは考えていない。
  2. 最高益更新企業に注目。その他金融業には、地味でも何らかの強みを持ち、最高益を更新する見込みの企業が多い。

 これら2点について、以下では楽天証券経済研究所長兼チーフストラテジストの窪田真之氏の見解を紹介する。

地味な最高益更新企業が多い「その他金融業」

 日経平均が414円安となった22日、全国保証(7164)は前日比215円(6%)高の3825円と逆行高した。前日に今期(2017年3月期)の経常利益(会社予想)を、前年比4.4%減の251億円から、同8.2%増の285億円(最高益更新)に上方修正したことが好感された。同時に期末配当金を1株当たり55円から61円に引き上げたことも好材料である。

 その他金融業には、意外にも最高益更新企業が多数ある。以下に東証一部上場、その他金融業で、今来期に最高益更新を見込む5社を掲げる。

その他金融業で今期(2017年3月期)・来期(2018年3月期)とも経常最高益の更新が見込まれる企業


出所:経常利益の今期予想は会社予想、オリックスのみアイフィス・コンセンサス予想。経常利益の来期予想はすべてアイフィス・コンセンサス予想
  1. 全国保証(7164)

     住宅ローン保証中心の信用保証業務を行う。独立系の強みを生かし、全国の中小金融機関(銀行・信用金庫・農協など)と保証契約を締結。契約金融機関数、保証残高の増加、最高益の更新が続いている。

  2. 東京センチュリー(8439)

     みずほFG(8411)系のリース会社。伊藤忠(8001)とも連携。営業資産の約5割を占める国内リース事業が安定収益源。成長分野と位置づけるスペシャルティ事業、国内オートリース、国際事業で営業資産を拡大。スペシャルティ事業では、専門性を有する航空機ビジネス・太陽高発電などで収益を伸ばす。今期経常利益は8期連続の最高益となる見込み。

  3. リコーリース(8566)

     収益性の高い中小企業向けの小口リースが収益の柱。1万社以上の顧客を持つ集金代行サービスや介護ファクタリングなどの金融サービスでも収益を積み上げ。今期(2017年3月期)の1株当たり配当金を前年比5円増やし60円とする予定で、22期連続の増配となる見込み。

  4. イオンフィナンシャルサービス(8570)

     親会社イオン(8267)の連結利益の約3割を稼ぐ。親会社イオンと連携したクレジットカード事業が中心。銀行業務(イオン銀行)も展開。親会社イオンのネットワークを生かして、国内外で、会員数・残高の増加が続いている。

  5. オリックス(8591)

     今期は、法人金融サービス・メンテナンスリースの利益が減少しますが、不動産・事業投資・リテール金融事業の利益が伸びて、最高益を更新する見通し。事業投資の分野では、メガソーラー・コンセッション事業も伸びに貢献。

なぜ「その他金融」に最高益更新企業が多いか?

 日本の長期(10年)金利が一時マイナスまで下がったことから、銀行業では、預貸金利ザヤ(預金金利と貸付金利の差)の縮小が続いている。昨年は、利ザヤ縮小懸念で、銀行株が急落した。その他金融業も、昨年は銀行株といっしょに売られて、株価が大きく下がった。

 ただし、その他金融業(リース・消費者金融など)では、長期金利が下がっても利ザヤが縮小しない業態もあり、営業資産の増加にともなって利益の増加が続いている。

 リース・消費者金融業では、利ザヤの構造が、以下の通り、銀行とは異なる。

  1. 銀行業の利ザヤは縮小

     (銀行の利ザヤ)=(長短金利スプレッド)+(信用スプレッド)

     長期金利の低下を受けて、長短スプレッドの縮小が続いている。預金の金利はゼロに近く、これ以上、下がりにくくなっているが、貸付金利の低下が続いているためである。銀行業の利ザヤで残るのは、信用スプレッド【注】だけになってきている。

  2. リース・消費者金融の利ザヤ

     リース・消費者金融業では、主に銀行から借金して、貸付を行っている。市場金利が低下する時、貸付金利だけでなく、借入金利も低下するので、利ザヤの縮小は抑えられる。また、以下に述べる理由により、貸付金利・リース料も、長期金利に連動して下がらない部分もある。

     (消費者金融の利ザヤ)=ほとんどが(信用スプレッド)

     消費者金融業では信用スプレッドが大きいので、長期金利が低下しても利ザヤが維持される。

     (リース業の利ザヤ)=(長短金利スプレッド)+(信用スプレッド)+(サービス・フィー)

     リース契約には、金融取引の要素と、サービス契約(メンテナンスなどの提供)の要素がある。手数料の要素が大きい、中小企業向けのオペレーティング・リースでは、長期金利が低下しても、利ザヤが維持されやすいと言える。

【注】信用スプレッド

 銀行は自らの高い信用力を背景に、低い金利で預金を集めることができる。一方、中小企業や個人は、それより高い金利でないと借金ができない。その差が、信用力スプレッドである。信用力の差が、銀行の預貸金利ザヤの重要な構成要素となる。

 銀行は、信用力の高い大企業向け貸金では、ほとんど利ザヤが得られなくなった。長短金利スプレッドも信用スプレッドもほとんど無くなってきているからである。銀行は、信用スプレッドが得られる中小企業や個人向けの貸金を増やす努力をしているところだ。

 同じ個人向け貸し金でも、住宅ローンと消費者金融では、金利が著しく異なる。日本の住宅ローンは完済率が高い上に、担保(住宅)がついているので、金利は非常に低くなってきています。一方、消費者金融は、無担保で焦げ付きが多いので、金利が高くなっている。

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