海外コメンタリー

医療機器がネットにつながるIoMT--セキュリティ脅威の実情と課題 - (page 3)

Charlie Osborne (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2017-03-27 06:30

 さまざまな潜在的脅威への対応を求められている医療事業者と医療機器メーカーが抱える課題は大きい。Valencia氏は、医療グレードのソリューションやIoMTにさらに高水準なセキュリティが義務づけられたとしても、セキュリティソリューションに穴がないとは限らないと述べている。

 同氏によれば、例えばQualcommは、IoMTをいくつかの「重要な要件」を持つモノのインターネットだと捉えているという。

 その要件には、保護医療情報(PHI)やHIPAA(医療保険の携行性と責任に関する法律)の規制への準拠、米食品医薬局(FDA)の医療機器クラス分類で定められている標準などが含まれる。

 「規制分野の利用ケースでは、ネットワークに接続されるソリューションで、保存中と送信中の両方のデータが暗号化されることも珍しくないが、これは多くの場合、コンシューマー向けIoTデバイスには当てはまらない」とValencia氏は述べている。

 さらに同氏は、「データの暗号化は、プライバシーの問題(HIPAAとPHIの規制を慎重に検討する必要がある領域)を部分的に解決できるが、それで攻撃を受ける可能性が消えるわけではない」と付け加えた。

 Valencia氏は、暗号は「堅牢なセキュリティプログラムの基礎」であり、PHIや医療情報には「絶対に必要なものだ」と述べている。医療用のアプリケーションやシステムがより複雑になり、IoMT機器でデータが収集され、保管され、送信されることが多くなるに従って、暗号化は患者の情報を守る上で重要になるだろう。

 もう1つの論点は、医療機器や医療システムでオープンソースのシステムやコンポーネントを利用することだ。

 オープンソースソフトウェアは、その定義上ソースコードが一般に公開されており、コードを再利用できる。今日では、多くのデバイスやアプリ、有名なソフトウェアパッケージの少なくとも一部の要素で(スクリプトやプロトコルなども含む)、オープンソースが利用されている。多くの場合オープンソースには、プロジェクトに関与する開発者の数が多いという利点がある。

 コードをチェックする人の目が多いほど品質もよくなるわけだが、オープンソースの各コンポーネントを中央集権的に管理する主体は存在しないことも、医療機器のセキュリティにとってリスクになり得るかどうかが問題だ。

 コードが公開されているため、例えば悪意を持った人物がソフトウェアにバックドアや悪質なプロセスを仕込むことができるかもしれず、オープンソースシステムに残っている未修正の弱点が悪用される可能性もある。

 しかし、米ZDNetが話を聞いたセキュリティ専門家は、メリットがリスクを上回ると考えている。

 Valencia氏は、オープンソースのプロトコルはコードが公の場で吟味されるため、暗号化アルゴリズムなどのコンポーネントの水準が、患者情報の保護に使用できるものであることを確認しやすいと述べている。

 「クローズドソースソフトウェアでは、弱点や脆弱性が十分にチェックされずに残り、悪用される可能性が大きくなる」とValencia氏は言う。「適切な監督と手続きを経れば、オープンソースは医療ソリューションでも使える価値のあるツールになり得る」

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