適正な評価のもとで事業価値が認められるなら、その価値をアピールする努力も必要です。事業貢献がマネジメント層に認められることで、新たな機械学習プロジェクトへの支援も得やすくなります。
ビジネスにおける機械学習の成果は技術的な到達点ではなく、いかに収益に貢献したかで評価されるべきです。
プロジェクトの初めから終わりまで、周囲との連携を欠かさないことが、最初の機械学習プロジェクトを成功させる鍵となります。
機械学習とデータ分析の関わり

さて、最後に機械学習とデータ分析の関わりについて簡単に説明します。機械学習はデータに基づいて予測、分類しますが、その精度はアルゴリズムだけでなく学習に用いるデータにも依存します。
適切なデータとは、必要に応じて異常値が除去され、取得期間中に定義や単位が変わっているデータがあれば補正するなど、必要な前処理を施されたデータです。
何を異常値とするかの基準や、そもそもどのような偏りの分布なのかといった情報を得るために、機械学習に使用するデータに対しては事前分析を行う必要があります。
データを見る観点や分析については、いわゆるBI(Business Intelligence)と呼ばれる領域の考え方やテクニックが活用できます。
このようなデータ分析領域の業務内容や、必要とされるスキルセットなどは今後の連載の中で具体的に説明をしていく予定です。
- 田中耕太郎(データサイエンティスト)
- 東京工業大学大学院にてMOT(技術経営専門職)を取得。 在学中より研究開発系の大学ベンチャーにて企業戦略の策定、マーケティングに従事。 IT系ベンチャーにて主に事業企画、プロジェクトマネジメントを経験後、 コンサルタントとして大手企業や官公庁のデータ分析案件を担当。 データサイエンス領域では機械学習の活用、統計を用いた事業分析を専門に行い、 組織の立ち上げ、データサイエンティストの採用や育成にも注力。 現在はC2Cの領域で、主に事業状況の可視化やビッグデータ分析を担当している。