コニカミノルタは、プリンタやスキャナなどの複合機(MFP)にサーバやソフトウェアなど情報システムを組み込んだ製品「Workplace Hub」を今秋から提供する。ドイツ・ベルリンで3月23日に開催されたプレス向けイベントで明らかにした。
Workplace Hubは中小企業や大企業の部署での利用を想定している。MFPでの印刷機能のほかにストレージやサーバ、Wi-Fiのアクセスポイントなどを組み込んでいる。
プレスイベントで展示されていたWorkplace Hub
エンドユーザー向け機能としてファイル共有のほかに音声や映像での会議、メール、チャットなどを統合した「Team Space」が利用できる。Team Spaceは、Microsoft OutlookやGmailと連携するプラグインが用意されるとともに、OutlookやGmailを統合して使うことも可能だ。
コニカミノルタは、Workplace Hub向けのサービスとしてアプリストアサービス「Konica Minolta Marketplace」の提供も予定している。コニカミノルタ以外の企業が開発したアプリケーションなどを購入、インストールできる。この時に請求書はコニカミノルタ1社からのものであり、コニカミノルタがワンストップで対応することになる。
Workplace Hubにはストレージも組み込まれているが、データはローカルのストレージとコニカミノルタのデータセンターを組み合わせて格納することも可能だ。同製品に活用されるサーバはHewlett-Packard Enterprise(HPE)のハードウェアを採用している。
Workplace Hubはウェブから管理。Wi-Fiの設定やエンドユーザーのアクセス権限を管理できる。加えて、Workplace Hubに搭載されているハードウェアやソフトウェアのライセンスも把握できる。使用状況を一元管理するほかに人事異動や退職による空きも自動的に割り当てることもできる。
ストレージの管理では、データの保存場所をローカルかコニカミノルタのデータセンターに設定を変えられ、ストレージの容量が足りなくなった場合にはKonica Minolta Marketplaceから新たに追加購入もできる。セキュリティは「トラフィックライト」と呼ばれる機能で、システム全体のセキュリティの状況を一目で把握できるようになっている。同製品のセキュリティにはSophosの統合脅威管理(UTM)機能が組み込まれている。
コニカミノルタ 代表執行役社長 山名昌衛氏
Workplace Hubは、コニカミノルタが遠隔地から管理することも可能だ。同社がセキュリティやデータ保護の状況を管理して、障害が起きる前の予兆検知も可能としている。設定作業やソフトウェアのインストールはオンサイトでも対応する。必要に応じて、ヘルプデスクサービスやIT専門家へのコンサルティングサービスも同社から提供される。
プレスイベントの中でコニカミノルタ取締役で代表執行役社長の山名昌衛氏はWorkplace Hubについて「まったく新しい製品」という位置付けを説明。「インテリジェントな(知性のある)ハブがあることで職場での働き方は変わってくる」とWorkplace Hubの将来に期待を込めた。
同社の研究開発部門のシニアディレクターであるDennis Curry氏も「インテリジェントな情報基盤」という言葉でWorkplace Hubの性格を表した。同社の執行役を務めるとともに米子会社Konica Minolta Business Solutionsの最高経営責任者(CEO)も務めるRick Taylor氏はWorkplace Hubについて「中小企業にぴったりの製品」と強調。だが、Taylor氏の知人である、売上高80億ドルという大企業のCEOもWorkplace Hubに興味を持っていることを明らかにしている。
コニカミノルタはWorkplace Hubに加えて、ラックマウントに装着できる「Workplace Edge」も今秋からの提供を予定している。また、Workplace Hubの「病院向けモデルを2018年に提供する」(Curry氏)ことも明らかにしている。