企業におけるIT管理とセキュリティという点で、最大の懸念として挙がるのがモバイルデバイスだ。企業が支給するデバイスや従業員の私用端末が多数存在し、企業の多くがその管理とセキュリティ対策の難しさを課題としている。失敗すれば、危険なセキュリティの隙間や無計画なネットワーク環境を生む恐れがある。
他の主要な技術ベンダーと同様に、IBMもデバイス管理分野に参入している。IBMは、自社のコグニティブ技術「Watson」を使って、顧客企業がエンタープライズデバイス管理の問題に対応するのを支援しようとしている。
IBMは、「IBM InterConnect」カンファレンスで「MaaS360 Advisor」のリリースを発表した。IT管理者がスマートフォン、タブレット、ノートPC、IoTデバイスのネットワークを、自然言語と機械学習を利用して管理できるようにする「Watson」ベースのコグニティブアシスタントだ。
MaaS360 Advisorは、コンプライアンスドキュメントから、ゼロディ脆弱性やマルウェアといったアクティブな脅威まで、さまざまなデータを解析して関係付け、ネットワーク上のデバイスを分析する。そしてポリシーやセキュリティパッチ、ベストプラクティスを推奨し、デバイスの管理と保護を改善できるようにする。このテクノロジは基本的に、IBMのエンドポイント管理システムMaaS360を拡張したもので、IBM Cloud上で提供される。
またIBMは、Watsonの自然言語処理をMaaS360プラットフォームに応用する方法も研究している。例えば、管理者はMaaS 360 Advisorに対して、「新しいAndroidタブレットは?」「Windows 10アップグレードができる端末は?」などと会話形式で企業の環境について質問をすることができるという。
IBMは、デバイスのネットワークの管理と保護のプロセス自動化を支援するコグニティブアシスタントの構築を目指すと述べた。
IBM Securityの戦略およびオファリング管理担当ディレクターであるJim Brennan氏は「MaaS 360にWatsonを組み合わせることで、データを合理化し、鮮明にして、管理者が先行した対策を取ることができるだけではなく、環境と相互作用する手段を変えることができる」と述べている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。