「いわばIoT(Internet of Things)プラットフォームのようなものだと考えている。関連するネットワークから必要なデータを収集し、AI(人工知能)技術などを駆使してそれらを分析し的確なアクションにつなげる仕組みだ。とりわけ重要なのは、そうした一連の物流情報管理に向けた作業をどれだけリアルタイムに行えるかどうかだ。NECの強みをそこで発揮していきたい」
冒頭の発言はこのコメントのエッセンスである。確かに、ITを活用したパンデミック対策は考え方としてIoT対応と似ており、リアルタイム性が重要になるとの想像はつく。その意味では、さまざまな危機管理に幅広く応用できそうな仕組みともいえる。社会ソリューションに注力するNECとして本領を発揮できるか、注目しておきたい。
「中堅中小企業に最先端のAI技術を活用したERPを提供したい」 (パシフィックビジネスコンサルティング 小林敏樹 代表取締役社長)
パシフィックビジネスコンサルティング 代表取締役社長 小林敏樹氏
パシフィックビジネスコンサルティング(PBC)が先ごろ、マイクロソフトの中堅中小企業向けERPパッケージソフトの最新版「Microsoft Dynamics NAV 2017」の日本版、中国版、香港版、タイ版、ベトナム版を4月より販売開始すると発表した。小林氏の冒頭の発言はその発表会見で、新製品の最大のアピールポイントを述べたものである。
新製品は、米Microsoftが2016年10月にリリースした英語版のDynamics NAV 2017に、PBCが5カ国それぞれの商習慣に合わせた機能を追加し、各国の言語にローカライズして提供するものである。
会見で説明に立った小林氏および同社取締役事業部長兼戦略事業推進室長の吉島良平氏によると、Dynamics NAV 2017の最大の特長は、マイクロソフトの機械学習機能「Azure Machine Learning」との連携により、クラウドベース予測分析機能を搭載した点にある。これにより、ユーザーは機械学習の専門知識無しに直感的な操作でさまざまな業務の予測や分析が行えるようになったとしている。
また、Outlookの中でDynamics NAV 2017の画面を起動し、顧客の与信情報の参照や見積書・受注伝票の作成と送付も可能。さらに、レポーティングツール「Power BI」をDynamics NAV 2017の画面内に埋め込んで分析画面として活用するなど、システムを切り替えずに一連の業務を遂行できるようにしている。
小林氏によると、PBCは2001年よりマイクロソフトを協業し、Dynamics製品のコンサルティング・導入・サポートを通じて、日系企業の海外展開を支援する先駆け企業として活動してきた。そうした中で、近年は東南アジアが成長市場として注目されていることを受け、2016年にはタイに現地法人を設立し、Dynamics NAVのタイ版とベトナム版を追加した。
同社では、タイ・ベトナムをはじめとする東南アジア諸国に進出する自動車関連、製薬業・医薬関連、組み立て、食料品加工といった日系の製造企業を主要ターゲットとし、Dynamics NAV 2017を訴求していく構えだ。
Dynamics NAVは1984年の製品発売以来、現時点で165カ国・地域で約3500社のパートナー企業が提供しており、導入実績は全世界で12万社を超える。その最新版である「2017」は、「In Office 365, On Azure, With CRM, Plus Power BI」というコンセプトのもと、他のマイクロソフト製品との連携が一層強化されている。
小林氏によると、同社のビジネスからすると、Dynamics NAVは海外が7割、日本が3割というのが現状とのこと。「日本では会計パッケージソフトと競合するケースが多いが、クラウドやAIに対応したERPとして改めて訴求していきたい」という。日本を含めたアジアでの同社の事業展開ぶりに注目しておきたい。
左から、日本マイクロソフトDynamicsビジネス本部長の田村元氏、小林氏、PBCの吉島氏