改正個人情報保護法が可視化した「情報銀行」の意義 - (page 2)

吉澤亨史 山田竜司 (編集部)

2017-04-12 07:00

 ワーキンググループでは、パーソナルデータが最も活用度が高いと考えています。改正個人情報保護法で、データ提供者が反対をしない限り、同意したものとして第三者提供を認める「オプトアウト」が厳格化されました。

 一方、パーソナルデータを提供した個人にとっては、自分のパーソナルデータがどこでどのように活用され、共有されているのかが分かりにくいのが現状です。

 そこで、個人がパーソナルデータにもっと関与できる仕組みとして、情報銀行やPDS、後述の「データ取引市場」が提案されているのです。

 情報銀行は、PDSなどのシステムを活用して個人データの第三者(他の事業者)とのマッチングや、提供の運用などをする事業のことです。

 データを提供する条件は、あらかじめ個人と情報銀行の間で決めておき、情報銀行は指定した条件に基づき個人に代わり妥当性を判断します。データの提供・活用に関する便益は、データ受領事業者から直接的または間接的に本人に還元されます。


「情報銀行」の概要

 PDSはPersonal Data Storeの略で、パーソナルデータを蓄積、管理するためのシステムのことです。また、蓄積、管理しているデータを、所有する個人の意志によって第三者へ提供する制御機能も持ちます。

 運用形態には分散型と集中型があり、分散型は個人が所有するデバイスやクラウドでパーソナルデータを蓄積、管理、活用するもので、集中型は事業者に委託する形になります。


「PDS」の概要

 データ取引市場は、データ保有者と、データの活用を希望する者を仲介し、売買などの取り引きを可能にする仕組みです。PDS、あるいはPDSを利用する情報銀行の実現はもう少し先になるという印象ですが、データ取引市場はいくつかのサービスが既に出てきています。

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