企業重視の姿勢
Clouderaはアナリストらとのミーティングで述べるべきことを述べたうえで、顧客エンゲージメントの最適化やリスクの分類といった、企業における重要なユースケースで同社のプラットフォームを使用している、金融サービスやデジタルビジネスを手がける数々の法人顧客を引き合いに出した。そうした顧客のうち、世界的に有名なある金融サービス企業(Clouderaの古くからの顧客でもある)は、膨大な数のデータウェアハウスからの脱却を図るという長期的な戦略の一環として、プラットフォーム上での標準化を推進しているという。
Clouderaは必ずしもTeradataやOracle、Netezzaを駆逐する戦略を採っているわけではないが、ここ1年を振り返ってみれば、顧客の状況にあわせて自社製品を見直してきている。「Cloudera Enterprise Data Hub」は現在でも利用可能である一方、データサイエンスやエンジニアリングのほか、アナリティクスデータベース、オペレーショナルデータベースといったワークロードに特化した個別エディションの利用も可能になっている。これによって調整の難しさを取り除くための1歩を踏み出している。
新規分野の開拓と顧客ベースの拡大
Hadoop関連企業(Clouderaを含む)にとって、当初の売上はおそらく利益には結びつかないだろう。多くの場合、販売サイクルは長期におよぶうえ、オープンソース化やコモディティ化されたテクノロジに対する期待を受け、価格は現行のデータベースと同じレベルとはならないはずだ。利益が得られるのは、顧客がクラスタを更新したり、その数を増やすタイミングとなる。
ソリューションの充実に向けたスタックの拡張という展開方法もあるが、ClouderaがOracleと異なっているのは明らかだ。このためClouderaの歩む道は、コアデータの管理やガバナンス、セキュリティスタックの充実となる。Clouderaは「Apache Kudu」のような製品の追加に力を入れてきている。これによって、HDFS(Hadoop分散ファイルシステム)や、「Apache Parquet」のようなカラムナストレージフォーマットを用いた際のオーバーヘッドに起因するレイテンシが無視できないような、変更が激しいデータのアナリティクスに利用できる更新可能なデータウェアハウスを実現できる。これはBI市場で勢力を拡大していくための武器となる。
しかし、それだけでは限界がある。ClouderaはMapRとは異なり、Hadoopの処理がIoTユースケースにおけるエッジにまで及んでいるとは考えていない。しかしエッジコンピューティングがClouderaの守備範囲外だというのであれば、Cisco Systemsのエッジ戦略に合ったものが必要となる。実際のところ、最もありそうな方向性は、Ciscoのフレネミーである(そしてClouderaに出資している)Intelや、IntelのIoTソリューションにおけるパートナー企業だろう。