3月17日、「ガートナー エンタプライズ・アプリケーション戦略&アプリケーション・アーキテクチャ サミット2017」のセッションの1つとして、ニコンシステムのエンタープライズソリューション事業本部で本部長を務める小山勝氏が登壇。「まる投げの外製、やみくもな内製に隠れた“罠”を暴け!」と題して講演した。

ニコンシステム エンタープライズソリューション事業本部 本部長 小山勝氏
講演では、ニコンシステムの情報システム部門の改善の軌跡を、情報システム部門の責任者である小山氏が振り返り、役立つノウハウとして解説した。元々はニコンに在籍していたが、2011年にニコンシステムに呼ばれてニコングループの情報システムを支える部門を担当することになった。それ以降、組織を改善した。
「丸投げの外製や、やみくもな内製でも、業務は回っていた。そんな状態にあっても、情報システム部門には危機感は無かった。やらされ感が会社全体を覆っており、親会社の言いなりになっていた」(小山氏)。しかし、あるプロジェクトの失敗をきっかけに、初めて現実を真正から直視したという。
まず、情報システム部門の役割を果たせていないことを理解した。それまでは、ニコンとベンダーのつなぎ役でしかなく、プロジェクトの失敗を他のせいにして同じ失敗を繰り返していた。このことを認識し、失敗はすべて情報システム部門の責任だということを直視した。
さらに、ITにかけている費用が適正かどうかを考えた。それまでは、ベンダーから出てくる最安値の見積もり提案を選ぶだけで満足していた。本番稼働を優先しているため、本稼働後の運用費が高止まりしていた。このことを認識し、運用業務の内訳を調べることにした。
運用業務の内訳を分析、4割を占めていた間接業務の削減に取り組む
小山氏はまず、情報システムの運用工数を下げることを考えた。総工数から運用業務の内訳を分析した。
その結果、社員は業務の39%を、本来の運用業務ではなく間接業務に当てていることが分かった。ベンダーと親会社のつなぎ役しかやっていないからだ。「管理業務や調整業務は全体の10%以下に抑えなければならない」(小山氏)
社員だけでなく、SIベンダーのエンジニアも、管理業務が多かった。問い合わせや障害対応などの、本来やってもらいたい実務には、全体の56%しか時間を使っていなかった。
システム別の工数も分析した。会議が異様に多いなど、間接業務の工数や管理工数が異様に高い業務システムがあることが分かった。これらを個別に改善していった。