電通国際情報サービス(ISID)は、3月22日、宮崎県東諸県郡綾町(綾町)との共同実証実験について発表した。
この実証は、有機農産物の品質をブロックチェーン技術を活用して保証するもの。2016年10月から進められている。有機農業発祥の町として知られる綾町とISIDのオープンイノベーションラボが共同で取り組んでおり、生産情報を付与した野菜の販売店なども期間限定で出店している。
販売店では、個々の野菜を住友ベークライトが提供する鮮度保持フィルム「P-プラス」で個包装し、近距離無線通信技術であるNFCタグ付のQRコードを付与している。これにより、消費者はスマートフォンをかざすだけで、その野菜がどのような土壌で育ち、いつ作付けが行われたかなどの生産工程を、個包装の単位で確認することができる。
NFCタグ付QRコードが付与された個包装の綾町産野菜とスマートフォンでの画面イメージ
同実証では、分散型台帳をネットワーク上に構築するブロックチェーン技術を活用して、有機農法で生産された農産物の植え付け、収穫、肥料や農薬の使用、土壌や農産物の品質チェックなどの生産管理を行い、綾町独自の品質に対する厳格さや、出荷する農産物の品質の高さを消費者に向けてアピールするもの。ブロックチェーンで構築された公証の仕組みが消費者の行動にどのような影響を与えるかや、地方自治体でもこうした仕組みの運用が可能であるかを検証する。
なお、同実証で利用されているブロックチェーン技術は、ISIDがエストニアのGuardtime社や大阪に本社を置くシビラと共同で開発しているもの。今後は、輸送、加工過程、販売・提供等、フードサプライチェーン全体でトレーサビリティの保証を行う仕組みを構築していくとした。