IBM InterConnect

IBMロメッティCEOがパブリッククラウドに自信の理由 - (page 2)

末岡洋子

2017-04-01 08:00


 IBM Qの展示エリア前は常時人だかりができていた。Quantum APIとQISKitを利用して、IBM Cloud経由でアルゴリズムなどを動かすことができる。

コグニティブが今後の企業の勝敗を分ける

 2つ目はデータファーストだ。「データは世界の天然資源になる」とRometty氏はCEOに就任以来の持論を再度強調した。

 「データに価値がある。データを利用して全ての意思決定を行うから」というのがその理由だ。だからこそ、「価値を見つけて配信する、データを民主化するというアプローチのところもあるが、そうは思わない」とRometty氏はいう。企業はすでにそれなりのデータ資産を抱えており、ここから競争優位性を引き出すことを支援するための”データファーストアーキテクチャ”を備えるという。「企業が得た洞察はその企業のもの。誰かと共有すべきではないし、誰かの巨大なナレッジグラフのトレーニングに利用されるべきではない」(Rometty氏)。

 データファーストとは具体的にどういうことか。Rometty氏によると、IBM Cloudは、パブリッククラウド、プライベートクラウド、ライセンスされたデータと様々なデータを混在して使うことができる「データの多様性」、それにデータがどこにあるのか、誰が何に使っているのかを管理でき、隔離できるという「データの制御」の2つの特徴を持つという。

 3つ目は「中心にあるコグニティブ」だ。IBM Cloudの最大の差別化とも言えるもので、「コグニティブはIBMにとって、機能ではない。土台だ」とrometty氏。Watsonは機械学習でスタートしたが、AI、コグニティブの機能を備える。画像を識別する能力(「見る」)は95%の精度、「聴く」に相当する音声認識の単語誤り率(WER)は5.5%と世界最高記録を出したばかりだ。また、モーション、パターン、センサなどの「感じる」でも他を上回るレベルに到達しているという。

 だが、Rometty氏が「最大の差別化」とするのは、業界の専門知識だ。「世界の全てのデータのうち、公開されており検索エンジンでアクセスできるデータはわずか20%、残り80%は企業の中にある。そして、本当の価値はこの80%に眠っている」とRometty氏。Watsonは業界の言語を理解するようトレーニングを積んでおり、これは長期的に重要になるとした。

 Rometty氏によると、Watsonが求められている「意思決定」の市場は、2兆ドル規模、これは1兆4000万ドルと言われるIT市場を上回る規模だという。

 「データファースト、コグニティブーーこの2つが企業の将来性、存続性につながる」とRometty氏は述べた。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    Pマーク改訂で何が変わり、何をすればいいのか?まずは改訂の概要と企業に求められる対応を理解しよう

  2. セキュリティ

    従来型のセキュリティでは太刀打ちできない「生成AIによるサイバー攻撃」撃退法のススメ

  3. 運用管理

    メールアラートは廃止すべき時が来た! IT運用担当者がゆとりを取り戻す5つの方法

  4. セキュリティ

    2025年はクラウドを標的にする攻撃が増加!?調査レポートに見る、今後警戒すべき攻撃トレンド

  5. セキュリティ

    最も警戒すべきセキュリティ脅威「ランサムウェア」対策として知っておくべきこと

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]