第1回 Hyperledger Tokyo Meetup
『第1回 Hyperledger Tokyo Meetup』では、170人超の申し込みがあり、盛況なイベントになりました。当日は、『Hyperledgerプロジェクト』の概要についての説明のあと、リリースが近づいていた「Fabric 1.0」の概要やブロックチェーンアプリケーションを開発するためのツールである「Fabric Composer」の紹介がありました。
後半には、「Fabric」だけではなく、ソラミツが開発したフレームワークである「Iroha」の紹介がソラミツの武宮社長からありました。その後、データベースのエキスパートからみた「Fabric」やSIer視点でのブロックチェーンの可能性や実証実験から得られた知見などが紹介され、大変盛りだくさんで内容の濃いMeetUpになりました。
なかでも、「ブロックチェーンの可能性と課題 - SIerとしての視点から」という講演は、とても興味深かったので、少し紹介したいと思います。
まず、「ブロックチェーンシステム開発の10の論点」ということで、「ブロックチェーン製品の選定」「クラウドかオンプレミスか」「コストは安くなるか」などの10のポイントについて解説がありました。
「ブロックチェーン製品の選定」については、ビジネス要件に応じて、どのブロックチェーンの基盤を選択するかがビジネスモデルに大きく影響するということでした。表1にビジネス要件と対応する基盤を記します。
ビジネス要件 | 対応する製品 |
---|---|
パブリックネットワーク/自律分散型 | Bitcoin Core, Ethereum, Sawtooth Lake |
コンソーシアム指向/パーミッション型 | Fabric, Enterprise Ethereum? |
BtoC | Iroha |
相対取引指向/公証(notary)型 | Corda |
上記のパブリックネットワーク/自律分散型(パブリック型)は、「Bitcoin」のようにノード型やブロックチェーン閲覧に制限がなく、ブロック生成時の高難易度の仕組みが必要です。
コンソーシアム指向/パーミッション型(コンソーシアム型)では、ノード型や閲覧に制限することが可能になるので、エンタープライズでの利用という視点では、コンソーシアム型のほうが有力視されています。
後半の「ブロックチェーンシステム運用の勘所」では、これまでの中央集権的なシステム基盤から中央集権ではなく、管理主体が一組織でなくても良いブロックチェーンでは、大きく発想を変える必要があります。
また、複数のブロックチェーンを組み合わせたり、異なるブロックチェーン技術を組み合わせたり、また外部のシステムとの連携など、どのように組み合わせていくかも大切な問題です。
利用していく上での課題の一つに問題が発生した場合の対応が挙げられるとおもいます。従来のシステムであれば、問題が発生した時に情報収集や対応が一つの組織の中で閉じることができるので、そんなに複雑になることはありませんでした。
ブロックチェーンを利用したシステムでは、どのノードで問題が発生したかをトレースしなければならないためにとても対応が複雑になりそうです。
また、メンテナンスでシステムを停止する場合でも、ブロックチェーンでは、サービスを止めないようにメンテナンス時間の調整が必要になるというようなことも検討していく必要があります。
このようにまだまだ運用していく上では、課題が残されていますので、今後をどのように解決していくかが、技術の普及に不可欠になると思います。