3月17日、「ガートナー エンタプライズ・アプリケーション戦略&アプリケーション・アーキテクチャ サミット2017」のセッションの1つとして、ガートナーのリサーチ部門でリサーチディレクターを務める本好宏次氏が登壇。「SaaS ERPをめぐる誤解を解く」と題して講演した。
ガートナー リサーチ部門 リサーチディレクター 本好宏次氏
講演で取り上げるSaaS ERPとは、パブリッククラウドサービスを基盤としてSaaS型のサービスとして提供するERPのこと。IaaSやプライベートクラウドの上で既存のERPを動かす形態は対象には含まない。
ERPのハイプサイクルでは、NetSuiteに代表される中堅中小企業向けのSaaS ERPは期待のピークを過ぎて幻滅期に位置している。今後普及していく。一方、SAPやOracle、ワークスアプリケーションズなどに代表される大企業向けのSaaS ERPは、今が期待のピークにある。
本好氏は冒頭で、ユーザーがSaaS ERPに寄せている期待と懸念についてアンケート結果を示した。期待事項のトップ3は、導入コスト(52%)、利用コスト(50%)、セキュリティ(46%)だ。一方、懸念事項のトップ3は、利用コスト(48%)、セキュリティ(47%)、サービス存続性(35%)となった。
「期待と懸念が両立しているが、これらの間に挟まったグレーの部分に現実がある」と本好氏は指摘する。SaaS ERPを検討する際には、長期利用した場合のTCO(総コスト)を調べることが大事とした。また、SaaS ERPは凄いスピードで進化するので「新機能に貪欲に追いつく体制作りをしよう」とした。
講演では、SaaS ERPにまつわる誤解を7つ示し、それぞれについて解説した。7つの誤解は以下の通りだ。
- 安価である
- セキュアではない
- 存続性が低い
- 迅速に実装できる
- カスタマイズができない
- 早期に革新を実現できる
- モダンなUIで使いやすい