「Salesforceの顧客はCRM、そしてCRM以外にもたくさんのデータを持っている。IBMにもたくさんのデータがあり、これが一緒になる。Watsonは業界ドメインを理解できる」とRommetty氏。Benioff氏によると、Weather Companyのデータが利用できるようになることで、突発的な異常気象が予測できると、自動車保険会社はSalesforceのCRMシステムを使って顧客に自動車を車庫に駐車するようにメッセージを送る、などのことが考えられるという。
提携では、IBMが2016年に買収したシステムインテグレーター/コンサルティングのBluewolfがWatsonとEinsteinの統合を手掛けることも明らかにしている。実際、今回の提携の背景にはBluewolfの存在が少なからずありそうだ。BluewolfはSalesforceの案件を得意とするクラウドコンサルティング企業で、共同創業者であるEric Berridge氏をはじめ「Marcが育てた」(Rometty氏)という関係。Benioff氏はステージで、「Bluewolfを買収してくれたことに感謝している」とRometty氏の手を握り、会場に向かってBerridge氏を探し、「Eric、どうもありがとう」と述べた。
BluewolfはIBMのグローバルビジネスサービスの下に入っており、Berridge氏は幹部としてBluewolfを率いている。
Benioff氏によると、Einsteinは15万以上という同社の世界の全顧客に向けてロールアウト済みという。Rometty氏が「企業はどのようにAIのメリットを活用するのか」とBenioff氏に尋ねると、Benioff氏は、まずは「基本的なこと」として営業担当がより良い優先順位を得られるなどの例をあげる。
その次の段階として、システムが学ぶことで営業、マーケティング担当者などのプロフェッショナルをAIが導き、支援するようになるという。「これが本当のブレークスルーだ」とBenioff氏。そして、「10年もすれば(AIは)土台技術になる」と予想した。