大気汚染対策にスーパーコンピュータを--スペインの大気質予測システム「Caliope」 - (page 2)

Anna Solana (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2017-04-04 07:30

 パリとマドリッドでも、大気汚染で景色が霞んで見えるような深刻な状況になると、交通規制を実施している。これは、高レベルの汚染物質がぜんそくやアレルギー、循環器や呼吸器の疾患を引き起こす可能性があるためだ。

 大気エアロゾル粒子の量を決定する物理的および科学的なプロセスを解明して、気候、海洋生物地球化学、大気質、健康に対する影響を評価する研究を行っているPerez Garcia-Pando氏は、大気汚染対策は「技術的なものであるべきで、イデオロギー的なものであってはならない」と考えている。

 同氏は対策の策定に試行錯誤のプロセスが必要なことは認めているが、正確なデータに基づく判断が重要だと主張する。Perez Garcia-Pando氏と同氏が率いるチームが、Caliopeの予測精度をバルセロナの道路単位まで高めようとしているのは、これが理由だ。

 カタルーニャ州政府は、カタルーニャ州の気象サービス企業Meteocatとバルセロナ市議会の協力を得て、カタルーニャ地域でCaliopeを使用することを検討している。その主な目的は、特定の大気汚染対策が与えた影響についてデータを取得し、パリやマドリッドで実施されているものに似た交通規制の判断を行えないかを調べることだ。

 欧州委員会は最近スペインに対して、特にマドリッドとバルセロナにおける二酸化窒素の大気汚染基準違反で警告を通知した。

 一方、メキシコシティ政府環境局(SEDEMA)は、同市の大気質予測と大気汚染対策の評価を行うためにCaliopeを導入すると発表した。

 スペインの農業食料環境省から資金援助を受けているこのシステムは、民間の小規模な取り組みにもサービスを提供しており、ウェブとiPhone用およびAndroid用アプリから利用できる。

 BSCが運用するMareNostrumの処理能力は、2017年前半に従来の12倍である13.7ペタフロップスに増強される予定であり、その際にはこのシステムの性能も向上する可能性がある。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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