——Lansing氏とCoby氏のツイートがどういった状況のなかで投稿されたのか、説明をお願いできますか?
我が社では、データを3つに分類しています。それらは政治データと、商用データ、ファーストパーティーデータです。また、クライアントの要望に応じて、有権者ファイルの大手プロバイダー数社と連携し、投票歴や有権者の人物像を把握します。さらに、数多くの大手商用データプロバイダーからライセンスを取得したうえでデータにアクセスしています。このデータには、一般的な人口統計や地形、個人の商品購入履歴や嗜好(しこう)などが含まれています。これら以外にも、社内における調査や研究といったR&Dプロジェクトから得られた内部的なデータや、独自に見出したデータ間の関連、調査対象との直接のやり取りを通じて得たデータのコレクションを収集しています。
——Cambridge Analyticaのテクノロジがどのようなものか、そしてどのように機能するのか、Trump氏のキャンペーンにどのように利用したかを説明してもらえますか?
我が社は根本的に、データおよび行動科学を手がける企業です。簡単に言うと、企業が話すべき相手と話すべき内容を見極めるための支援を提供しているのです。われわれは、人口統計学に基づくマーケティングが時代遅れになってきており、コミュニケーションを行ううえで、個人の本質的な動機を理解する方がはるかに効果的であると確信しています。またわれわれは、この研究をデジタルな世界とテレビを通じて適用することで、個人に向けてリーチするための手段を提供しています。
Trump陣営でのキャンペーンでわれわれは、データ戦略を手がける指定企業という役目を担いましたが、状況の進展とともにその役割はすぐに進化していきました。われわれの業務遂行において核となる3つの柱は、データ科学とアナリティクス、そしてデジタルマーケティング(たいていの場合は、有利な世論の形成と投票推進運動)、世論調査/リサーチでした。多大な統制力と豊富な入力データをこれら3つの柱において活用することで、われわれは極めて効率的かつ機敏な対応が可能になったのです。また、ウェブ上でデザインやマーケティングを手がける企業Giles-Parscaleと共和党全国委員会(RNC)の各スタッフとの統合も容易になりました。
われわれのアプローチにより、Trump陣営などの顧客は、より効率的にリソースを活用し、支持者に向けた説得力を強化するとともに、支持者の活動をより機動的なものにできるようになります。
データは、企業が求める、活用可能なあらゆる洞察の要であるため、その応用は限りなく考えられます。われわれは、Trump陣営でのキャンペーンにおいて、メディア利用に向けたリソースの割り当てや、最も効率的な遊説順序の立案、代理演説の内容の管理、有権者個人に対する個別のメッセージの作成など、あらゆる面での支援を実行に移しました。
われわれは、2人として同じ候補者はおらず、キャンペーンで使用できるデータやデジタル、テクノロジのプログラムを遂行する標準的な方法を記した「プレイブック」など存在しないということを学びました。投票日までの5カ月間で、カスタム化したプログラムを開発するというのは、かつて経験したことのない挑戦でした。また、大統領候補としてのTrump氏のスタイルは、他の候補者とは大きく異なっていました。このため、アプローチに変更を加え、有権者の評価を迅速に見極める手段をいくつか考え出す必要もありました。
振り返ってみるとよく分かりますが、過去に戻ってもう一度やり直せるのであれば、お金をかけてでも時間を捻出しようとしたはずです。これは私が関与してきたほとんどのキャンペーンで言える話ですが、準備したプログラムのいくつかをほんの少し磨き上げるだけで、よりよい成果が得られていたと考えられます。選挙の結果という観点から見た場合、今回の結果にはとても満足しています。
結局のところ、人は人なのです。人を投票所に向かわせる、あるいは候補者への寄付を決断させるというのは、企業が日々直面している多くの問題と関連があります。新規顧客を開拓するか、ブランドロイヤリティを高めるかに関係なく、われわれのテクニックの多くはこのような目的に適したものとなっているのです。