ビジネスITの世界は変化が激しくなっているが、先日、2017年はマーケティング部門へのテクノロジ投資がIT部門のそれを上回る見込みだという発表があった。特にB2Bデジタルマーケティング分野はマーケティングオートメーションの導入においても、活発に議論されているという。そこで今回、B2Bハッカーの飯室淳史氏、アクセンチュアの槇隆広氏、2BCの尾花淳氏、KDDIの中東孝夫氏を招き、座談会を開催した。
今回は2回目(第1回)。参加者は以下の5人。
参加者
- B2Bhack.com B2Bハッカー(ビジネスファシリテーター)飯室淳史 氏
- アクセンチュア株式会社 デジタルコンサルティング本部 マネジング・ディレクター 槇隆広 氏
- 2BC株式会社 代表取締役 尾花淳 氏
- KDDI株式会社 ソリューション事業本部 ソリューション事業企画本部 ソリューションマーケティング部 部長 中東孝夫 氏
- 司会 ZDNet編集部 山田竜司
マーケティングオートメーション(MA)の現状
ZDNet:B2BマーケティングのIT関連のトピックでは、マーケティングオートメーション(MA)が2015年ごろから多くの企業に導入され始めていますが、なかなか実情がわかりません。今どのような状況とお考えですか。

アクセンチュア株式会社 デジタルコンサルティング本部 マネジング・ディレクター 槇隆広 氏
槇氏:すごく荒っぽい例えかもしれませんが、フェラーリを買ってコンビニに行くようなことをしています。車に例えると、スピードを出し切れていない、また、性能を出し切れていないという状況です。MAツールは、さまざまなチャネルに発信できる機能がありますが、結局のところメール配信のみ利用している、あるいはメール配信の最適化ができていない使われ方も多いですね。
マーケティング部門は、これまで展示会などで名刺を集めて一括で見込み顧客にアプローチしていたので、細々と段階的にデータを扱うことがなかなかできていませんでした。要するに、Excelでリストを作って管理する程度でした。そこへリードナーチャリングなどの新しい概念が入ってきて、一度接点を持ったらスコアリングして育成していきましょうということになりました。
チャネルも一気に増えましたが、すぐに複数チャネルを使いこなせるかといえば、難しいチャレンジだといえます。セグメントを定義してターゲティングする機能がツールにはありますが、その前にセグメントの設計をしなくてはいけません。まずはペルソナを1~2個作るところから着手するのですが、ペルソナを増やしていくということはやはり少し負担になります。いくつかの代表的なペルソナを定義してセグメンテーションやターゲティングを実施しても、ようやく効果が少し見えるという程度です。導入した企業の8割くらいがまだその段階にいる感じです。
中東氏:特に私が考えているのは、マーケティングオートメーション単品、アナリティクス単品、CMS単品などではなく、「テクノロジスタック」をどう組むかというところです。データやテクノロジのアーキテクチャをどう構成するか、どのツールを使って何をやらせるか、最終的にどこを目指すのかという話だと思うのです。