マーケティングオートメーションもデジタル化でも同じですよね。デジタルで何かをやれと言われているから、「何ができるのか」とただ話を聞くというケースと、「営業やマーケティングをこのように変えたいのです、どうしたらいいでしょうか」というケースと。ありがたいことにMAの場合は後者が増えてきていると感じます。
MAは今まで担当者が口が上手くて上司を説得できると入れてしまえるレベルでした。導入が済むとMAを遊び道具として使うのですが、そのままでは言っていたことがうまくいかないので、もっといい使い方を知りたいということになります。
本当に営業を変えようとか、マーケティングを変えようと思うときに、別にツールをいれるという話だけにはならないはずですよね。だからその夢の持ち方のようなものが、本当に「ガキが見る夢」と、ちゃんとした「大人の夢」があると思います。
中東氏:ツールオリエンテッド(道具中心)から、ゴールオリエンテッド(目標中心)に変わりつつありますよね。
マーケティングのデータベースをどのように構築するのか

2BC株式会社 代表取締役 尾花淳 氏
尾花氏:もうひとつ、この「夢」に対して先ほどのデータベースを横でつないでということは、2000年代に顧客データベースを統合しようという話や、マスター統合のような話をずっとしていました。あのときこそ、本当に絵に描いた餅でしたよね。みんないろいろ頑張って、いろいろなところでプロジェクトが頓挫しました。
当時とは違うアプローチで今、「物理的には別々でいいのだが、データとしてはつながっている」という状態を作りやすくなっている。そういう意味では段階的にできるようにはなっていますよね。いくつか実際に運用してみて、さらにそれを統合していく。きちんとその先をにらんでいる会社から相談があるケースは、増えている実感があります。
槇氏:データの観点では、10~15年前に考えていたことは、まず一箇所にデータを寄せ、それが実現したら皆がそれらを有効に活用できるだろうということだったのですが、最近は少し方向性が変わり、用途や利用目的によって分散管理してもいいという考え方になってきています。
中核となる共通情報は同一なのですが、付随する情報が多種多様になったので、マーケティング用のデータベース、案件を登録して追いかける営業系のデータベース、販売用のデータベースなど、それぞれで違う情報を持っていますし、それぞれに最適化して管理するようになっています。
一方、氏名などの共通情報は一箇所に集約したり、一元管理したりできるような仕掛けを作ろうというように変わってきているのではないかと思います。統合することに労力をかけるよりは、それぞれ自分たちに必要なデータをモデリングして使っていくというように、方向性が変わってきています。