ビジネスITの世界は変化が激しくなっているが、先日、2017年はマーケティング部門へのテクノロジ投資がIT部門のそれを上回る見込みだという発表があった。特にB2Bデジタルマーケティング分野はマーケティングオートメーションの導入においても、活発に議論されているという。そこで今回、B2Bハッカーの飯室淳史氏、アクセンチュアの槇隆広氏、2BCの尾花淳氏、KDDIの中東孝夫氏を招き、座談会を開催した。今回は3回目(第1回)(第2回)。参加者は以下の5人。
参加者
- B2Bhack.com B2Bハッカー(ビジネスファシリテーター)飯室淳史 氏
- アクセンチュア株式会社 マネジング・ディレクター デジタルコンサルティング本部 槇隆広 氏
- 2BC株式会社 代表取締役 尾花淳 氏
- KDDI株式会社 ソリューション事業本部 ソリューション事業企画本部 ソリューションマーケティング部 部長 中東孝夫 氏
- 司会 ZDNet編集部 山田竜司
アカウントベースドマーケティング(ABM)の効果について
KDDI株式会社 ソリューション事業本部 ソリューション事業企画本部 ソリューションマーケティング部 部長 中東孝夫氏
ZDNet:前回、ゴールをきちんと見据えて、そこに向かって戦略をきちんと立てていくという方が、ツールよりも大事だという話がありました。そしてこれが、ターゲット企業を定義して戦略的に標的に近づいていく「アカウントベースドマーケティング」(ABM)が流行している理由のひとつかと思います。ABMについての取り組み、皆さんがどんな考えをお持ちかということを共有いただいてよろしいですか。
中東氏:死ぬほどやっています(笑)。取り組みのやり方も2社目、3社目と経験してきているので、定型化しています。まず、売り上げ分析から始め、自分の会社の売り上げがどれだけ偏在しているかや、どの要素が売り上げに貢献しているかが分かる「パレート分析」を実施します。売り上げが偏っていないと、ABMをする意味がないのです。ロングテールでビジネスが成り立っているのだったらB2C的なトランザクションビジネスをすればいいわけです。
偏っているのなら、どれくらい偏っているかを見ます。トップ10%のアカウントで売り上げの何%を担っているのか、上位の10%、20%でどれだけの売り上げをになっているのかを分析して、それが80%、90%を超えるのなら、もうアカウントベースマーケティングをするしかない、といったやり方です。そこから問題になってくるのがデータクォリティマネジメント(DQM)です。
「トップ10%が売り上げの80%」であることがわかると、ではまだ売れる余地のある「ホワイトスペース」はどこなのか、従業員数1000人以上の会社は何社あるかといった会社をピックアップしようとするとデータがそろっていないと難しくなってきます。優先順位付けなどデータを分析できないと、ABMをする意味がありません。要するにバイネーム(名指し)でリストアップするしかなくなります。