ABMが向かない分野
尾花氏:かえってABMに向いている人が少ないとか、あるいは向く部門。逆に、向いている会社、あるいは部門、商材とか。マーケット自体がどうなのかという話がないと。

2BC株式会社 代表取締役 尾花淳 氏
中東氏:ABMは少なくともコモディティな商材を扱わない限りは向いていません。ここでいうコモディティは、どのような会社でも貧富の差があっても入れるということ。たとえば、私が過去にいた会社でいうと、デルの場合、PCはどんな会社でも1~2台は入れますよね。アドビであっても、PDF、Acrobatなどのソフトは絶対に入ってきますし、いくつかのソリューションは結構な数の会社には導入されます。Ciscoの通信機器に至っては、入らない会社はないです。KDDIでも、携帯はほとんどの会社が導入します。そういったところにABMは向いていると思います。
ただ、本当に業界特化型の専門商材で、しかも単価が高いところでロングテールに絶対ならない、偏在性などは見るまでもないような会社に関しては、ABMを使っても仕方がないので、そこは別の方法をとる必要があります。
槇氏:マーケティングオートメーションのときもそうでしたが、われわれは最近のトレンドワードについて「教えて欲しい」と指南役で呼ばれるケースがよくあります。その際に、「そもそもどの事業部のどの商材を誰に売るためにABMやマーケティングオートメーションを使おうとしていますか」とお聞きすると、回答が得られないことも多いです。
そのときに私たちはコンサルとして、ツールを買うだけでは効果がでないと説明することがあります。マーケティングオートメーションで効果を出したいのであれば、2〜3カ月を使って調査や準備をすることを提案したり、導入作業のテンプレートをお渡ししてナビゲートするなど、本来やるべきアプローチに戻したりします。
飯室氏:本来は書籍やウェブポータルでチェックリストなどを公開した方がいいのですよね。誰でもマーケティングオートメーションが使えるというような言い方をする人もいますから。
槇氏:私たちも一方で結構アンチテーゼ的に製品ベンダーの売り込みにやられることがいっぱいあるわけです。それに顧客が感化してしまって、いろいろやるのですが、それに一緒に乗ってしまうと後始末が大変なので、やはりそういう過去のレッスン難度も含めてそういうアプローチがあるべき。マーケティングという部門の人たちは(顧客の)ビヘイビアと発想だけで走りたがる人たちですから。
飯室氏:新しい物好きだからね。
<第4回へ続く>