槇氏:グローバルでビジネスをしている企業のうち、将来の競争環境に危機感を持っている製造業などは、競合相手が欧米の企業であることが多いです。
彼らは現在の売り上げが好調だからとか、現時点で自社製品に競争力があるからということで満足せずに、きちんと考えています。
一方で日本国内を中心にビジネスをしている企業は、何に注意すべきか気づかないことが多いですね。マーケティング部門のミッションを販促活動とほぼイコールと考えていたりします。

KDDI株式会社 ソリューション事業本部 ソリューション事業企画本部 ソリューションマーケティング部 部長 中東孝夫氏
中東氏:懐かしの本で「島耕作」が主任や課長だった頃、彼の所属は「販売助成部」でした。今のマーケティングという言葉は、販売助成部を指しているだけの会社がほとんどです。
そこからの脱却をしない限り、マーケティングも結構しんどい。IT部門だけに脱却を求めるできではなくて、マーケティングも販売助成部から脱却しないといけない。
尾花氏:これまでは、(広告やメディアの窓口となる)担当者が採用されていただけでした。でもこれからは、マーケティングを組織立ってやる必要があると考え始めている企業は、確実に増えていますよね。
それはだいたいトップダウンで意思決定されるので、少なくとも「我が社にも必要だな」と考える企業は増えています。
槇氏:海外と日本の違いを考えたとき、大きな違いが2つあります。ひとつは新興国における違いです。新興国では、どの企業が近い将来どのように成長するか予測することが難しく、ダイヤの原石となりうる小さな企業が数多く存在しています。
日本でダイヤの原石となるような小規模の企業を探すのはなかなか難しいですよね。しかし海外にはまだ、そのような企業がたくさんあります。
新興国マーケットにおいて近い将来に急速に成長するダイヤの原石を探すことは、マーケティングのミッションのひとつと言えます。
もうひとつは、米国や中国などの国土が広く、企業が複数の都市に点在しているマーケットにおける違いです。海外と一口に言いますが、米国や中国などは国土がとても広く、日本の首都圏のように営業が1日に3~5社を回ることは不可能です。