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マイクロソフトが独ミュンヘンにIoTとAIの研究所開設--その狙い、展望 - (page 2)

Andrew Brust (Special to ZDNet.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2017-04-06 06:30

ハイブリッド

 Microsoftは先述のクラウドサービスに加え、IoTやAIに関連が深いテクノロジも数多く持っている。

 これらのテクノロジの多くは、オンプレミスでも、クラウドでも利用できる。APSはオンプレミス用の製品だが、「Azure SQL Data Warehouse」と「HDInsight」で同様の機能を実現可能だ。このうち「Azure Analysis Services」は現在プレビュー版であり、「Power BI」にはデスクトップ用のコンポーネントとクラウドサービス用のコンポーネントの両方が用意されている。

コンピュータはネットワーク

 CNTKはニューラルネットワークに基づく一連の深層学習アルゴリズムを提供するもので、モデルの学習やテストを行うことができる。またその後、それらのモデルを新たなデータのスコア付けに使用することも可能だ。これは、予測的アナリティクスに使用できることを意味する。CNTKは複数のサーバクラスタで使用可能であり、従来のCPUだけでなくGPUも活用できるため、大規模なデータセットを扱える。さらにCNTKは、「BrainScript」を使用する以外に、PythonとC++のコードから呼び出すこともできる。

 CNTKにはGoogleの「TensorFlow」と似た面もあるが、Microsoftによれば、CNTKのトレーニングに関する性能はTensorFlowを大きく上回っている。どちらもオープンソースだが、使用しているライセンスは異なる。

 CNTKはMicrosoftのクラウド戦略とどう結びついているのだろうか。まず、Azureの仮想マシンで評価用のCNTKが利用できるようになっており、Azure上でチュートリアル用の「Jupyter Notebook」も提供されている。またこのツールキットを、Azureの仮想マシンクラスタ(CNTKがフルに性能を引き出せるNVIDIAのGPUを備えた、AzureのNシリーズの仮想マシンも使用できる)に導入して、本番環境として使用することができる。

プロモーション、啓蒙、教育

 Microsoftがこれらのテクノロジに加え、「Windows 10 IoT Core」や、その「Raspberry Pi 2」用のバージョンなども提供していることを考えれば、MicrosoftはIoTやAIの開発ためのフルスタックを持っていると言っても差し支えないだろう。スタックの大部分がまだ新しい技術である上に、Azureのクラウドやその付属的なサービス(コンピューティングサービスやストレージも含めて)との統合までを含めて考えれば、教育や啓蒙の必要性は高い。

 Microsoftが教育や啓蒙を推進する必要があるのは、IoTとAIのスタックそのものの普及を推進するためだけでなく、クラウドコンピューティング企業としてのMicrosoftの業績や評判、成功を下支えするためでもある。同社のスタックを導入する可能性が高い組織の多くが、リソースに限りがあり、最先端技術と格闘しているスタートアップであることを考えれば、この種の拠点を設けるという方向性は正しそうだ。

2017年の政権選択

 選挙活動と同じで、Microsoftも町に出て有権者と握手をし、信頼を積み上げ、心をつかみ、投票推進活動を行う必要がある。ただ電話をかけるだけで、従来の地盤からの支持をあてにしているようでは、逆転劇が起こって負けるかもしれない。

 しかし、政治の世界とは違って、Microsoftがフェイクニュースを使って覇権を勝ち取るようなことはできない。勝利をもたらすのは、実際の普及、サービスの利用量、大企業との契約、そして業界標準を作る企業としての評判だけだ。

 それを考えれば、Microsoftは今後、さらに多くのIoT & AI Insider Labsを開設していくべきかもしれない。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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