コンタクトセンターの基盤ソフトを手掛けるジェネシス・ジャパンは4月5日、都内で事業説明を行い、2016年12月に買収した米Interactive Intelligenceとの事業統合が完了したことを明らかにした。現在はタイプの異なる3製品をラインアップし、5月にはフラッグシップ製品「PureEngage」の新バージョンの提供を予定する。
同社が提供するコンタクトセンターの基盤ソフトは、「PureEngage」「PureConnect」「PureCloud」の3種類となる。PureEngage(旧名Genesys Enterprise Edition)は、米Genesysが従来提供していた製品ラインで、大規模向けのフラッグシップという位置付け。企業要件に合わせてカスタマイズしての使用を想定している。オンプレミスのソフトウェア製品だが、ライセンスの一括購入だけでなく、サブスクリプションで利用料を支払う形態も選べる。
コンタクトセンターの基盤ソフトとして、PureEngage、PureConnect、PureCloudの3つをラインアップする
PureConnect(同Customer Interaction CenterおよびCommunications-as-a-Service)は、Interactive Intelligenceの製品ラインとなり、多機能オールインワン製品と位置付けている。四半期ごとにマイナーアップデートを実施し、オンプレミスまたはSaaSで利用する。PureConnectの現行版では、オペレーターが顧客のウェブブラウザ画面を共有してブラウザ操作を支援する機能や、WebRTCの仕組みを活用したソフトフォン機能、ステレオ録音でオペレーターの発言と顧客の発言を分けて記録する機能などを追加している。
PureCloudもInteractive Intelligenceの製品ラインであり、Amazon Web Servicesの基盤を使ってSaaSとして提供する。クラウド専用サービスらしい週次での機能追加をしておおり、初期費用を抑えたいユーザー向けに初期費用を分割払いできるファイナンスサービスも用意している。
またコンタクトセンター基盤としての機能のほかに、IP電話などのUC(統合コミュニケーション)機能や、ファイル共有/ビデオ会議などのコラボレーション機能なども提供する。コンタクトセンターの基盤機能の利用価格は月額8399円から。
製品ラインアップ拡充で顧客要件を幅広くカバー
ジェネシス・ジャパンのソリューションマーケティングでマネージャーを務める正木寛人氏は、「3製品をラインアップすることで、全サイズの顧客をカバーできるようになった。提供形態も豊富になり、オンプレミスでもクラウドでも提供できる」と、製品ラインアップが増えた利点を説明する。
ジェネシス・ジャパン 代表取締役社長の細井洋一氏
ジェネシス・ジャパン代表取締役社長の細井洋一氏も、「コンタクトセンター基盤ソフトのトップ2社が統合したことの影響は大きい。『1+1』が2.5になる」と企業統合の意義を語った。さらに、ジェネシス・ジャパンが目指すコンタクトセンターの姿として、コストセンターではなくプロフィットセンターにすると主張。「コンタクトセンターはコストと見られがちだが、顧客接点であり、売上を伸ばす手段」と強調する。
同社のソフトウェアはいずれも、顧客エンゲージメント、従業員エンゲージメント、ビジネス最適化の3つにフォーカスしているという。顧客エンゲージメントでは、チャットによる購買の支援など、適切なタイミングとチャネルで顧客の行動をサポートする。従業員エンゲージメントでは、オペレーターやスタッフが顧客に対して効果的に顧客体験を提供できるように支援する。
顧客エンゲージメントの具体例として正木氏は、PureEngageによるウェブエンゲージの設定例を紹介した。PureEngageでは、ウェブページにおいてドロップダウンリスト操作やURL文字列といった各種のイベントが発生したことを条件に、顧客との接点となるイベントを発動させることができる。
例えば、言語のドロップダウンリストが英語からフランス語に変わったことを受けて翻訳ボットを立ち上げるケースや、特定のキーワードを含んだURLのページを開いたらFAQ記事を提示してセルフサービスでの操作を促すものがある。また、あるイベントが起こったらマーケテイングオートメーションと連携してメールでリーチする例もあるという。