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日本株展望

米国関連株を見直し--国境税に耐える5銘柄 - (page 2)

ZDNet Japan Staff

2017-04-06 11:42

国境税導入でも相対的にダメージが小さいと考えられる5銘柄

(1)本田技研工業

 本田の第3四半期までの連結セグメント業績(2016年4~12月期)で見ると、売上収益(外部顧客向け)の55.6%が北米向けである。典型的な米国関連株と言える。

 本田の2016年(1~12月)の米国自動車販売は163万7942台だった。それに対し、同社の米国での自動車生産は129万52台である。2016年の米国生産台数を販売台数で割ると79%となる。

 したがって、本田の米国販売に占める米国生産比率は約8割と推定される。残り2割は、メキシコと日本からの輸出と推定される。日本の主要自動車メーカーの中では、本田の米国生産比率が一番高いと言える。

 本田は、米国への輸出に国境税が課せられると大きなダメージを受ける。ただし、米国生産比率が高いので、米国生産を増やすことで、ある程度ダメージを緩和できると考えられる。

 トランプ大統領は大規模な法人減税を検討している。大統領は、現在約35%の法人税率を将来15~20%に引き下げることを目指している。それが実現すると、本田の米国部門は大きな恩恵を受ける。

1981~1984年の経験

 1980年に日米自動車摩擦が激化した。1970年台の2度のオイルショックを経て、小型で燃費のいい日本車の米国向け輸出が急増したためである。この時、米国では日本車の輸入に台数規制を課すことを検討していた。

 日本は、米国で規制が導入される前に1981年に自主規制という形で輸出台数を削減した。この規制は1984年まで続けられた。この間、米国では人気の日本車が品不足となったために、米国内でプレミアム価格がつけられて販売された。日本の自動車メーカーは輸出台数が規制されたことではマイナス影響を受けたが、輸出価格の上昇で大きなメリットを受けた。

(2)ブリヂストン

 ブリヂストンの2016年12月期の所在地別セグメント業績を見ると、売上高の49%、営業利益の45%が米州向けである。典型的な米国関連株だ。

 ブリヂストンはタイヤ世界首位で、日本車だけでなく、アメリカ車にも使われている。世界中の幅広いメーカーで使用されるタイヤであるため、自動車のように貿易摩擦のターゲットとはなりにくいと考えられる。

 ブリヂストンのタイヤは高品質・高価格品が多く、米国内で価格破壊を先導しているわけではない。米国でたびたび問題になるのは低価格の中国製タイヤの輸入が増えることである。今後、政治的にターゲットになるとしたら中国製タイヤの輸入だと思う。米国生産比率の高いブリヂストンはターゲットとなるリスクが低いと考えられる。

 万一、米国が輸入タイヤに国境税をかける場合、中国タイヤが一番大きなダメージを受ける。ブリヂストンも輸入タイヤではダメージを受けるが、安い中国タイヤの輸入が減ると、米国内でタイヤ価格が上昇しやすくなるので、米国内で生産するブリヂストンには恩恵が及ぶ。

(3)三菱UFJ FG

 トランプ大統領は当初、金融業界に厳しいと見られていたが、実際は逆だった。閣僚に米証券大手ゴールドマンザックスの出身者を起用するなど金融業界と接近を図っている。

 米金融業界の活動を制約するドッド・フランク法(金融規制改革法)の緩和方針を唱えており、実現すれば、米金融業界に追い風となる。

 三菱UFJ FGは、邦銀の中では海外進出が最も進んでいる。米銀(MUFGユニオンバンク:総預金量で全米21位の商業銀行)を傘下に持ち、米モルガンスタンレーに出資するなど、国際事業本部の粗利の約半分を米州で稼いでいる。

(4)信越化学

 子会社の米国シンテック社は塩ビ生産で世界トップだ。コストの低い米国の天然ガスを原料に使っており、コスト競争力がある。トランプ大統領がシェールガス/オイルの開発を促進する政策を進めると、原料安を通じて、メリットを受ける。また、米国経済が好調でインフラ投資が促進されると、塩ビの需要拡大にもつながる。

 信越化学は世界的な半導体ブームで品不足となり、価格上昇が見込まれる、半導体シリコンで世界最大手であることも注目される。

(5)セブン&アイHLDG

 セブン&アイは4月6に2017年2月期決算を発表する。内外コンビニ(セブンイレブン)の成長とスーパー(イトーヨーカ堂)、百貨店(そごう西武)のリストラを進めている効果で、連結営業利益は2018年2月期に7期連続で最高益となる見込みだ。

 2016年2月期の所在地別セグメント情報によると、営業収益の30.7%、営業利益の18.5%を北米で得ている。国内の利益構成が大きく、内需株としての側面が大きいが、北米でしっかり稼ぐビジネスモデルを確立しているという意味で次第に米国関連株としても注目できるようになってきている。

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