ECSでテープを代替、ScaleIOは金融機関のDBMSで使われる
Chris氏は、ECSの事例として、サービスプロバイダの事例と、グローバルで事業を展開している銀行の事例を紹介した。サービスプロバイダーの事例では、顧客やプロバイダが生成するデータを、顧客ごとに独立したストレージではなく、ECSを利用した単一のストレージプールに格納した。
銀行の事例は、テープによるアーカイブ/バックアップをECSに置き換えた事例だ。テープの課題は、テープを保管する倉庫の維持にコストが掛かること。さらに、倉庫内のデータへのアクセスも容易ではない。ECSにしたことで、コストが減ったほか、過去のデータに容易にアクセスできるようになった。監査要件も満たせるようになった。
Dell EMC(米Dell Technologies)でScaleIO製品のPrincipal Systems Engineerを務めるJoel Sprouse氏
一方、ScaleIOの事例を紹介するのは、Dell EMCでScaleIO製品のPrincipal Systems Engineerを務めるJoel Sprouse氏だ。Joel氏が挙げるScaleIOの典型的な使い方は、サーバ仮想化ソフトとの組み合わせや、クラウド運用ソフトとの組み合わせだ。
また、性能のためにベアメタルサーバと組み合わせてOracle RACのストレージとして使うケースもある。ノードを増やせばスループットが上がるため、高いスループットを要求するケースにも使われる。
データベースをDockerコンテナで動作させる、といったユースケースにもScaleIOが適するという。あるEC(電子商取引)サイトでは、分散型データベースのApache CassandraをDockerコンテナで動作させる際に、ストレージとしてScaleIOを活用している。
ScaleIOは金融機関でも使われていると、Dell EMCのSDS部門でAdvisory SEを務めるCynthia L Passero氏は紹介する。「ニューヨークにあるグローバル金融機関の多くがScaleIOへの移行を検討し、実際に使っている。ScaleIOによってコストを削減できるほか、拡張性や俊敏性が得られる」(Cynthia氏)
Dell EMC(米Dell Technologies)のSDS(Software Defined Storage)部門でAdvisory SEを務めるCynthia L Passero氏
Cynthia氏によると、ある大手金融機関は、既にScaleIOを使って20ペタバイトのストレージを運用しているが、最近になってさらに容量を追加した。
この金融機関では、Oracle DatabaseやMongoDBなどのデータベース用途にScaleIOを使っている。
OpenStackなどのクラウド運用ソフトからAPIを介して操作できる点もScaleIOの利点だ。「Citibankのエンジニアリング部門長が、今後はすべてAPI主導で行きたいと発言している。同社はクラウド運用ソフトを介してScaleIOのプロビジョニングを自動化している」(Cynthia氏)