今週の明言

IBMが描くWatsonビジネスのポテンシャル

松岡功

2017-04-07 13:02

 本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。

 今回は、日本IBMの吉崎敏文 執行役員と、パロアルトネットワークスのアリイヒロシ代表取締役会長兼社長の発言を紹介する。

「これからはデータをどう活用するかが、企業にとって競争優位の決め手になる」
(日本IBM 吉崎敏文 執行役員)


日本IBMの吉崎敏文 執行役員

 日本IBMが先ごろ、企業向けの気象情報提供サービスを開始すると発表した。気象データとIBMのコグニティブ技術「Watson」を融合した新しい価値を提供するという。同社執行役員でワトソン事業担当の吉崎氏の冒頭の発言は、その発表会見で、企業におけるデータ活用の意義について語ったものである。

 新サービスは、同社の気象予報士が24時間365日、リアルタイムにアジア太平洋地域の気象予報を行うセンターを同社の本社内に開設し、気象予報や気象データを企業向けに提供するとともに、それらを活用した製品やサービスを提供するものだ。

 新サービスの背景として、IBMは高精度な気象予報や気象関連サービスを提供してきた米The Weather Company(TWC)を2016年1月に買収。同6月には、TWCのグローバルな気象予測とIBMのハイパーローカルな気象予測を組み合わせた新しい気象予測モデル「Deep Thunder」を発表した。これまでのTWCの実績とIBMの研究成果に基づく高精度の気象予報を提供していく構えだ。

 新サービスの詳しい内容については関連記事をご覧いただくとして、ここでは吉崎氏が説明したWatsonの戦略に注目したい。

 同氏によると、Watsonはコグニティブプラットフォームとして図のような展開が図られている。具体的には、さまざまなデータがWatsonに集積され、それをベースに産業別およびソリューション別にアプリケーションを展開し、各分野で価値のある情報サービスを提供していこうというものだ。今回の新サービスも、この仕組みに基づいて企業向けに幅広く情報を提供される形となる。


コグニティブプラットフォーム「Watson」の概要

 こうして見ると、IBMはWatsonというコグニティブプラットフォームから各分野に向けて、企業にとって価値のある情報サービスをビジネスとして展開していこうと考えているようだ。

 吉崎氏は会見の冒頭で、「データは21世紀の新たな天然資源である」との米IBM Ginni Rometty 最高経営責任者(CEO)のメッセージを伝え、続けて「これからはデータをどう活用するかが、企業にとって競争優位の決め手になる」と強調。そのデータをどう活用するかという点で、「Watsonをお役立ていただきたい」と訴えた。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. セキュリティ

    従来型のセキュリティでは太刀打ちできない「生成AIによるサイバー攻撃」撃退法のススメ

  2. セキュリティ

    2025年はクラウドを標的にする攻撃が増加!?調査レポートに見る、今後警戒すべき攻撃トレンド

  3. ビジネスアプリケーション

    業務マニュアル作成の課題を一気に解決へ─AIが実現する確認と修正だけで完了する新たなアプローチ

  4. 経営

    プロが教える“使える業務マニュアル”--作成・運用を実現する3つのポイント

  5. セキュリティ

    生成AI活用の潜在的なセキュリティリスクに準備しておくべき「6つの戦略」とは?

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]