2.開発者と運用スタッフの考え方は異なる
NationwideのDevOps導入にあたって、Vasudeva氏が早い段階で気づいたのは、大企業では開発者と運用スタッフの考え方が想像以上に異なっているということだった。
「開発者はコードを書いて、できるだけ早く本番環境に導入したがる」とVasudeva氏は言う。「一方運用スタッフは、可用性が十分かなど、さまざまなことを確かめようとし、確認のための手順を数多く設けている」
両者の文化的な壁は厚いが、これを解決する必要がある。Vasudeva氏は、両サイドのメンバーが参加し、お互いの目的について議論し合う合同の運営委員会を設置することを勧めている。同氏は、よいDevOps戦略は価値を提供するスピードを加速すると同時に、本番環境を守れるものでなくてはならない、と述べている。
3.DevOpsがビジネスに与える影響は領域によって異なる
IT業界ではDevOpsが注目を集めており、特に多くの大手テクノロジ企業が、短期間で新しいテクノロジを導入した話がよく取り上げられている。しかし、それらの企業の多くは、何年も前にアーキテクチャの選択を済ませているか、もともとそれだけのスピードを可能にするシステムを構築していることを認識しておく必要がある、とVasudeva氏は言う。
Nationwideのような企業は、定常的に使われている何千ものアプリケーションすべてを包括した戦略を取るわけにはいかないと同氏は主張する。このため企業は、DevOpsがもたらす能力とスピードのメリットをもっとも生かせるのはどの分野で、現在の環境でそれらの事業分野をターゲットにすることは可能かを自問すべきだという。
Vasudeva氏によれば、保険会社であるNationwideは、単純に作ったソフトウェアを本番環境に導入するというわけにはいかない。さまざまな規制当局のチェックを受ける必要があり、これによってスピードには制限を受ける。このため、組織のすべての領域で、同じようにDevOpsの恩恵を受けられるわけではない。Vasudeva氏は、ほかの業態の企業でも、DevOpsで得られるスピードや能力を現実的にもっとも活用でき、もっとも多くのメリットを得られるのはどの領域かを考えるべきだと述べている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。