Rackspaceの最高経営責任者(CEO)Taylor Rhodes氏が同社の計画について語るとともに、クラウドへの取り組みがまだ始まったばかりである理由を説明してくれた。
RackspaceのCEOであるTaylor Rhodes氏:「Amazonは竜巻だ」
Rhodes氏は、Rackspaceのここ数年の軌跡について、驚くほど正直に語ってくれた。同氏は、「世界最大の書籍販売業者が異種業界に参入した時に」起こることを経験したと述べている。
もちろんながら、Amazonの書籍販売能力がRackspaceの頭痛の種となったわけではない。同氏はAmazonのクラウドコンピューティング事業を担うAmazon Web Services(AWS)について語っているのだ。
Rackspaceはウェブホスティング企業として出発したが、黎明期のクラウドインフラ業界で活躍するようになった。しかし、クラウドがIT分野で重要な存在となることが明らかになり始めたのと時期を同じくして、同社はAWSという、Amazonの小売事業からの豊富な資金を有する強力な競合に直面する羽目になった。
Rhodes氏はAmazonについて、「彼らは中核事業で得た資金を活用できるという点で、規模拡大に向けた勝負において、われわれよりも有利な立場にあった。彼らは、当分の間は利益など望めないという覚悟を持って市場に参入してきた。成長のための再投資と考えていたのだ」と語った。
そして同氏は「われわれは、追随できるだけのイノベーションを維持できなかった」と付け加えた。
Amazon参入後のクラウド市場における競争
Rackspaceは複数の企業から買収の打診を受けた事実を2014年5月に明らかにした。しかし、数カ月におよぶ検討の結果、独立を維持するという決断を下した。同社は、自社のパブリッククラウドインフラストラクチャの開発を継続するのではなく、顧客のクラウド実装を管理するという戦略に注力するとともに、他のクラウドベンダーを利用している顧客のサポートに注力していくという道を選択したのだった。
Rhodes氏はこの件について、「IT業界におけるAmazonの破壊力について考えてほしい・・・それは驚異的だと言える。Amazon参入後のこの業界で重要な存在であり続けるにはどうしたらよいのだろうか?それこそ、各社が考えなければならない問題であり、我が社が行動に移したことなのだ」と説明した。
つまりこれは、RackspaceがAWSやMicrosoft、Googleと競合するのではなく、そうした企業の製品を基盤として自社のビジネスを構築していくことを意味していた。