Amazon効果
451 ResearchのアナリストであるCarl Brooks氏は、Rackspaceがホスティングとクラウドインフラを手がける企業から、より汎用目的のITサービスを提供する企業へと変貌を遂げつつあると考えている。同氏は「Rackspaceの売上高の大半は現在でも、中小企業に対するインフラの提供によるもので占められているが、マルチクラウドやプライベートクラウドに関するサポートとサービスをより規模の大きな企業に向けて提供することで、最速での売上高の伸びと最善の結果を導き出している」と述べ、RackspaceはITインフラへの取り組みと、「OpenStack」に代表されるテクノロジへの取り組みのバランスを維持しながら、企業の「現場」からの要求に応えていく必要があると指摘した。
Rhodes氏は、Rackspaceが直面している課題はそれほど特殊なものではないとも主張した。
「すべての業界で株式を非公開化する企業が増加している。その根底にはクラウドコンピューティングという現象と、あらゆる企業(それがどのような業界に属していても)の能力が競争の激化と参入障壁の低下によって混乱させられているという点が共通して存在している。これが株式の非公開化に向けた動きの多くで見られることだ(中略)言わば大規模なAmazon効果だ」(Rhodes氏)
企業のアプリやデータを社内のデータセンターからクラウドに移行するという作業の支援は、長くて複雑なプロセスとなる。Rhodes氏によるとRackspaceは、成長を続ける大きな市場でよい位置につけているという。
「パブリッククラウドに移行する際には、自らのデータセンターと、自らのサーバとストレージ、ネットワーク、それらすべてを機能させるソフトウェアを実際に置き換えることになる。しかし、ITの運用管理まで置き換わるわけではない。誰かが運用に責任を持ち、監視する必要がある。また、誰かが容量計画を立案し、何にコストをかけようとしているのか、そして次に何に投資するべきかを押さえておくとともに、アプリケーションアーキテクチャやセキュリティを理解しておく必要もある」(Rhodes氏)
Rhodes氏は「Rackspaceが自社のパブリッククラウド事業を構築した際に獲得したスキルは、顧客システムのクラウドへの移行を支援するうえで極めて適切なものだ」と述べた。また同氏は、「アーリーアダプターによる採用は一段落し、メインストリームでの採用が始まっている」と述べ、メインストリームの企業はより多くのサポートやサービスを購入したいと考える傾向があると続けた。
その理由は、クラウドコンピューティングはより柔軟性をもたらせるうえ、企業のコスト削減すら実現できる可能性がある一方、その動きは極めて速く、複雑なところにある。同氏は、AWSが2016年に94の製品に対して1100件の変更と新機能を実装した点を引き合いに出し、専門外の企業がこういった変更に追随していくのは不可能だと指摘した。