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株式市場から考える「自動運転」の未来 - (page 2)

ZDNet Japan Staff

2017-04-11 07:00

自動運転への対応はいずれ「ブランド」価値に影響する可能性がある

 自動運転については、欧米の完成車メーカー、自動車部品メーカー、IT会社、半導体会社に積極的な会社が多く、レベル3が登場すれば欧米完成車メーカーから普及が進むと思われる。

 レベル4については、いずれは完全自動運転が普及するという意見を否定する自動車メーカー、自動車関連メーカーはいないと思われる。しかし、その時期が2020年以降なのか、2025年以降なのか、トヨタ自動車は高速道路での完全自動運転の普及は2020年以降、一般道での普及は2025年以降としているのに対して、フォードは2021年までに完全自動運転車の量産を始めるとしている(おそらく一般道用)。積極派は、緊急時にドライバーがいなければならないレベル3よりも、全てをAIでコントロールする完全自動運転のほうが開発が相対的に易しいと主張している。もっとも、これが実際にどうかは、やってみなければわからない。

 また、自動運転に対する消費者の意見が国によって異なることが、完成車メーカーの自動運転に対する態度に影響を与えている可能性もある。2017年3月1日付け日経新聞の記事によれば、日本では自動運転車を購入したくない人が44.3%で購入したい人が29.7%だった(元出所はMS&ADインシュアランスホールディングス)。2015年にボストンコンサルティンググループがアメリカで実施した調査によると自動運転車を購入したいが44%だった。

 完全自動運転に慎重なトヨタに対して、例えばフォードのような積極派が先に完全自動運転を実現すれば、この分野ひいては自動車技術全体でトヨタは劣後してしまう。その場合、トヨタは系列外から完全自動運転システムを調達する道があるが、トヨタに従っているデンソーは、完全自動運転に乗り遅れるリスクがある。将来の問題だが、もしレベル3や完全自動運転が実現すれば、自動運転システムの装着の有無が車のブランド価値に影響する可能性がある。完成車メーカー、大手自動車部品メーカーの動きに注目したいと思う。

車載用半導体の重要性が増す

 自動運転では、半導体と電子部品、それに搭載するAIなどのソフトウェアが重要になる。

 表3は自動運転車の中で、各社がどの位置にいるかを示したものだ。自動運転車を動かす場合、まずカメラ、ミリ波レーダー、Lidar(ライダー、レーザーを使って車の周囲を計測する)や各種センサで車の前方や周囲を計測する。そのデータをAI(人工知能)を搭載した車載用コンピュータに送って、エンジン、車輪、ブレーキなどの制御用半導体に必要な指示を伝える。あるいは、運転席のディスプレイに情報を表示する。

 表3のように、自動車の「見る」「考える」「感じる」の分野にさまざまな企業が参入している。新規参入も多い。例えば、「見る」の分野には、デンソー、NXPのようなこの分野の大手から、モービルアイなどの自動運転の新興勢力、車載用高感度イメージセンサーを開発したソニーなど多くの企業が参入している。「考える」「感じる」の分野は、モービルアイを買収することになったインテル、ゲーム用画像半導体の大手であるエヌビディアといった有力半導体メーカーが新規参入している。「感じる(ヒューマン・インターフェース)」に限ると、カーナビメーカーが活発な開発を行っている。

 一方で、「操作する」、即ち制御系半導体の分野は企業が限られている。新規参入は既存企業を買収しない限り無理だ。これはエンジン制御、ブレーキ制御などの制御系が車の中で最も重要で最も難易度が高い分野だからだ。この分野で最も市場シェアが高い会社はルネサス エレクトロニクス、次はフリースケール(NXPに買収されたが、そのNXPを通信用半導体大手のクアルコムが買収する)、インフィニオンと続く。この3~4社の車載用半導体メーカーが車を動かすノウハウを事実上独占しているのだ。

 更に、各々の要素技術を束ねて自動運転システムを作り上げるインテグレーターとしての大手自動車部品メーカーが重要だ。世界的大手のボッシュ、デンソー、コンチネンタルの大手3社から、20位くらいまでの自動車部品メーカーが重要だが、ここ数年、上位から下位の自動車部品メーカーや全くの外部企業が自動車部品メーカーを買収する事例が増えている。例えば、サムスンがアメリカのハーマンインターナショナル(年間売上高約7600億円、うち60%強が自動車向け)を80億ドルで買収することを決めた(2016年11月)。ハーマンはグローバルランキングでは下位メーカーですが、サムスンはハーマンを軸に「コネクテッドカー」を推進する目論見だ。

 また、パナソニックはかねてから資本参加していたスペインの自動車部品メーカー、フィコサ(年間売上高約1300億円)の株式を買い増して連結子会社化する(49%→69%へ)。

 このように、車載用半導体や自動車部品の市場では活発なM&Aが起きている。


表3 自動運転の仕組みと関連企業

表4 車載用半導体メーカーの世界ランキング


表5 自動車部品メーカーの世界ランキング(2015年度)


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