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日本株展望

株式市場から考える「自動運転」の未来 - (page 3)

ZDNet Japan Staff

2017-04-11 07:00

注目銘柄

 今回は注目銘柄として、ルネサス エレクトロニクス、アイシン精機、クラリオンを挙げた。

  • ルネサス エレクトロニクス(6723)

  • 車載用半導体の重要分野で世界シェアトップ

     ルネサスエレクトロニクスは、自動運転に関して、世界のトップクラスに入る可能性のある企業と思われる。顧客は日系、海外系の完成車メーカー、大手自動車部品メーカーであり、幅広い顧客層を持っている。足元の出荷の中心はレベル2の自動運転関連半導体で、レベル3関連の受注が入り始めた模様だ。

     世界ランキングは、後述のインターシル買収前は3位、買収後は2位と思われる。特に、エンジン制御用半導体のような難しい分野でトップシェアを持っている。自動運転向け半導体は、制御用だけでなく、上述の「見る」「考える」「感じる」の各分野の半導体をそろえている。また、電気自動車用半導体へも注力し始めた。

    インターシル買収完了

     2017年2月24日付けで米国の半導体メーカー「インターシル」の買収を完了した(買収費用は約3200億円)。インターシルの2015年12月期は売上高5億2200万ドル、営業損失1400万ドル(ただし知的財産権の訴訟関連費用8100万ドルを除くと6700万ドルの黒字)で、1ドル=110円換算で売上高574億円、訴訟費用控除前の営業利益74億円の会社だ。売上構成比は産業用35%、民生18%、コンピューティング17%、車載用12%なので、当社にとっては新分野の開拓が可能になる。

    2017年12月期業績は順調な伸びが予想される

     当社は、2017年12月期の有価証券報告書から国際会計基準(IFRS)を採用する。それまでは日本基準だが、インターシル買収に伴うのれん代が確定するのが約1年後になるため、2017年12月期通期決算は日本基準でのれん代を償却した決算を出した後、有価証券報告書でIFRSベースののれん代を償却しない決算を出すことになる。のれん代を推定2000億円、20年償却として試算した日本基準の2017年12月期見通しを、IFRSベースの見通しとともに表6に載せた。

     2016年12月期(9カ月決算)は、7~9月期が大底となって熊本地震の影響を脱して業績は回復してきた。2017年12月期も順調な成長が予想される。

     2017年12月期(IFRSベース)の楽天証券業績試算をもとに計算すると予想PERは21倍になる。過去の大赤字の影響で課税が少ない影響もあるが、車載用半導体の重要性を考慮すると、より高いPERが目指せると思われる。中長期の投資妙味を感じる。

    表6 ルネサス エレクトロニクスの業績


    表7 車載用半導体市場におけるルネサスの市場シェア(1位の分野のみ)


  • アイシン精機(7259)

  • オートマティックトランスミッションで世界トップ

     2017年3月期1-3Q累計売上高の60.3%がトヨタグループ向け(トヨタのほか、日野、ダイハツなど)だ。このほか、フォルクスワーゲン、アウディ、BMW、PSA、ボルボ、GM、日産、スズキなど、数多くの自動車メーカーと取引がある。

     主力製品はオートマティックトランスミッション(AT)で、世界市場で15~17%のトップシェアを持っている(2位はジャトコ約10%)。米国を除く日本、中国、アジアなどで新車販売台数が堅調に伸びているため、ATの販売台数も伸びている。また、現在の主流である6速ATから8速ATへのシフトが各地域で始まっている。アイシン精機全体では、6速比率が約60%、8速が約15%だが、BMWやトヨタが8速の車を増やしている。8速ATは6速ATよりも単価が10~20%程度高くなるため、この動きは業績に寄与している。

    オートパーキングシステムに注力

     自動運転では、自動ブレーキとオートパーキングシステムに注力している。特にオートパーキングシステムはトヨタグループの中で当社が担当することになった模様だ(一般道、高速道路での高速自動運転はデンソーの担当)。トヨタ向けでは、新型プリウスに当社製オートパーキングシステムが初めて搭載された。今後採用車種の増加が予想される。

     現在のオートパーキングシステムは、運転席にドライバーが座り、アクセルを操作しなければならない。ハンドル操作のみ自動車が行う。ただし、2020年以降には、外部から遠隔操作すると無人で駐車が可能になるバレーパーキングが実用化されると思われる。

    2018年3月期も堅調に業績拡大へ

     ここでデンソーではなく、アイシン精機を取り上げた理由は以下の通りだ。デンソーは北米事業の比重が比較的大きく、車のグレードによって価格が高くなる先端部品も比較的多いため、米国新車販売の減少が続く場合、その影響を受ける可能性がある。これに対して、アイシン精機の業績は、地域別動向よりもATの総出荷数量と為替レートが重要であり(アメリカ向けATと新興国向けATで採算に大きな差はない模様)、更に6速から8速への転換が2018年3月期業績にとって重要となると思われるためだ。

     また、自動運転については、一般道で走る高速自動運転が担当のデンソーは、トヨタの考え方に振り回されるリスクがあると思われる。一方、アイシン精機が手掛けるオートパーキングシステムは、特に都市部の新車販促にとって重要なツールとなっており、バレーパーキングへの技術進歩についても大きな異論はない。オートパーキングシステムの重要性はもっと注目されてもよいと思われる。


    表8 アイシン精機の業績
  • クラリオン(6796)

日立製作所の子会社

 カーナビゲーションの大手だ。株式の63.8%を日立製作所が保有している。2006年に日立製作所の傘下に入った。日立製作所の自動車部品部門である日立オートモティブシステムズの重要部門という位置付けになっている。日立オートモティブシステムズはグローバルランキング23位だが、日産自動車、SUBARUなど優良顧客を持ち、SUBARUのアイサイトを生産販売するなど、重要な事業を展開している。

オートパーキングシステムが重要になってきた

 自動運転関連事業として、ADASのセンサ部分とオートパーキングシステムを手掛けている。ADASについては、競争が激しい乗用車向けよりも、農機、建機、商用車向けに営業しており、2018年3月期から成果が出る見込みだ。

 また、オートパーキングシステムを複数の完成車メーカーに納入している模様だ。オートパーキングシステムは、ADAS関連に比べて参入企業が少なく、当社の自動運転関連の核となると思われる。

 現在の自動運転関連売上高は全社売上高の14~15%と思われる。今後はこの比率が上昇し、業績への自動運転関連事業の寄与が大きくなっていくと思われる。ADAS関連とオートパーキングシステムの顧客開拓に注力しており、今後数年間で成果が期待される。

 自動運転関連の中で、センサだけでなく、実際に自動車を動かす制御系(オートパーキングシステム)を手掛けることができる企業は日本では少数だ。この点を評価したいと思う。

表9 クラリオンの業績


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