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日本株展望

錯綜する中東情勢

ZDNet Japan Staff

2017-04-11 11:21

今日のポイント

  1. 中東には、民族や宗教、政治体制が絡んだ複雑な対立軸がある。イスラエルとアラブ諸国の対立、イスラム教二大宗派の対立などさまざまな紛争を生じている
  2. シリア内戦は、米国=サウジアラビアが支援する反アサド派と、ロシア=イランが支援するアサド政権の争いにISの勢力拡大が絡み、長期化している

 これら2点について楽天証券チーフグローバルストラテジストの窪田真之氏の見解を紹介する。

中東の対立軸

 中東には民族や宗教、政治体制などに絡んで、さまざまな対立軸があり、それが複雑に絡み合っている。

 まず、以下の2つの対立軸を理解する必要がある。イスラエル(ユダヤ教)とアラブ諸国(イスラム教)の対立と、イスラム教内の2大宗派(スンニ派とシーア派)の対立である。

イスラエルとアラブ諸国の対立

 イスラエルは、古代イスラエルがあったパレスチナの地に世界各国に散らばっていたユダヤ人が移住して建国した。中世には、アラブ人が支配していた土地であり、ユダヤ人の移民とアラブ人の間に紛争が絶えなかった。

 イギリスの信託統治が終了した1948年にイスラエル建国が宣言されたが、すぐに周辺のアラブ諸国から侵攻を受け、第一次中東戦争が起こった。イスラエル人とアラブ人の領土戦争は、1973年の第四次中東戦争まで続いた。

 第四次中東戦争後にイスラエルとエジプトの間に平和条約が結ばれてから、アラブ諸国との一連の戦争は終結した。ただし、周辺国との紛争はいろいろな形で今も続いている。

 今も国際的に問題になるのは、イスラエル国内に残る先住民(パレスチナ人)との紛争だ。イスラエルとパレスチナ自治区に住むパレスチナ人(ほとんどがアラブ語を話すイスラム教徒)との間で今も紛争が続いている。

イスラム教の二大宗派の対立

 イスラム教内の対立として2つの軸を理解する必要がある。1つは、二大宗派(スンニ派とシーア派)の対立だ。もう1つは、リベラル派(欧米の文化を受け入れるのに寛容)と原理主義者(イスラム教の規律を厳格に順守)の対立である。

(1)サウジアラビア(スンニ派)とイラン(シーア派)の対立

 シリア情勢やサウジアラビアとイランの対立を理解するために、イスラム教内の対立軸について理解する必要がある。

 イスラム教には、スンニ派とシーア派というイデオロギーの異なる2つの宗派がある。世界全体で見ると、スンニ派がイスラム教徒の約9割とマジョリティ(多数派)を占めている。サウジアラビアやトルコ、東南アジアなどほとんどのイスラム教国ではスンニ派が支配層を占めているが、マイノリティ(少数派)のシーア派と共存している。

 ただし、シーア派が支配する国と、スンニ派が支配する国の間には深刻な対立がある。その代表がサウジアラビア(スンニ派)と、イラン(シーア派)の対立だ。サウジアラビアはイランに対して、2016年1月に断交を宣言している。

 サウジアラビア内のシーア派、隣国イエメンで内戦を引き起こした反政府軍の中核であるシーア派をイランが支援していると考えられることが、サウジがイランと断交するきっかけとなったと考えられている。米国がイランへの経済制裁を解いたことも、サウジアラビアの焦りを生んでいる。

 イランは人口の9割がシーア派である。シーア派が多数を占める国はイランやイラク、バーレーンなどだが、イランはシーア派が主導するシーア派の盟主だ。イラクは現在、シーア派が政権を握っているが、スンニ派過激組織であるISと内戦状態にある。バーレーンは少数派のスンニ派が支配している。

 イランでは1979年にシーア革命が起こり、シーア派主導の政権が成立した。この時、イラクでは、少数派のスンニ派(フセイン政権)が政権を握っていた。シーア派革命の波及を恐れるイラクとイランの間に1980~1988年、イラン・イラク戦争が起こった。

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