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日本株展望

錯綜する中東情勢 - (page 2)

ZDNet Japan Staff

2017-04-11 11:21

 スンニ派もシーア派も、信条や象徴、宗教的儀式に大きな違いがあるわけではない。ただし、イスラム教の創始者ムハンマドの後継者についての考え方について根本的な違いがある。

 シーア派はムハンマドの後継者は義理の息子イマーム・アリーであり、イスラム世界の指導権はムハンマドの子孫に引き継がれるべきだと考えている。一方、スンニ派はイスラム世界の指導者は必ずしも世襲される必要はないと考えている。

(2)イラク国内でのシーア派とスンニ派の対立

 イラクには、シーア派やスンニ派のアラブ人の他、少数民族のクルド人などが居住している。イラン・イラク戦争当時、イラクを支配していたフセイン政権はスンニ派である。シーア派の方が人口が多かったが、少数のスンニ派が支配する国だった。

 フセイン政権が1990年にクウェートに侵攻したことをきっかけに、1991年に湾岸戦争が起こった。短期間で米国を中心とした多国籍軍が勝利し、イラクのフセイン政権は倒壊した。その後、米国の管理のもとで、シーア派の現政権が成立した。

 ところが、2011年に米軍がイラクから撤退すると、イラクは再び、シーア派政権とスンニ派の過激派勢力との間で内戦状態になった。スンニ派過激派勢力は、隣国シリアで内戦状態にあったスンニ派勢力と結びつき、イラク南部からシリアに支配地域を拡大し、IS(イスラム国)の建国を宣言した。

 ISは欧米各国やアラブ諸国(サウジアラビアやヨルダン)から空爆を受け、孤立しつつも、勢力を維持している。世界各国で起こるテロでISは犯行声明を出している。

(3)シリア内戦

 シリア内戦では、アサド政権、反アサド派、IS(イスラム教過激派勢力)の三つどもえの争いが続いている。

 アサド政権はシーア派の一派であるアラウィ派だ。反アサド派と総称されているのは、アサド政権と対立する、さまざまな少数民族やスンニ派勢力などの寄せ集めである。ISはもともと反アサド派の一派だったが、イラクの過激派勢力と結び付き、強大になった。

 シリア内戦は、米国とサウジアラビアが反アサド派を、ロシアとイランがアサド政権を支援しているために長期化している。ただし、ISが勢力を拡大してからは、情勢がより複雑化している。

 最近、IS掃討を優先するために、アサド派を支援するロシアと、反アサド派を支援する米国が話し合い、アサド派と反アサド派の休戦を実現する方向で検討が進められていた。トランプ米大統領がロシアのプーチン首相と親密で米ロ関係改善に意欲を示していたことが、追い風となっていた。共同でISを撃退できれば、シリア和平への道は一気に開けるはずだった。

 ところが、今回、アサド政権が化学兵器を使用したとの疑惑に基づき、米国がアサド政権にミサイル攻撃をしかけたことでシリア情勢は暗転した。アサド政権を支援するロシアとイランは、米国のミサイル攻撃を非難している。米ロ対立が復活する懸念が生じた。アサド政権と反アサド政権の間で戦闘が激化すれば、再びISが息を吹き返し、勢力を拡大する懸念もある。

その他のさまざまな対立軸

 イスラム教内の対立軸として、もう1つ大きなものは、リベラル派(欧米の文化を受け入れるのに寛容)と原理主義者(イスラム教の規律を厳格に順守)の対立だ。イスラム諸国内の原理主義者の一部がISやアルカイダなどの過激派組織に身を投じている。ペルシャ湾岸の国(UAEやカタール、バーレーンなど)はリベラル派主導である。

 政治体制に絡む対立もある。アラブの春などをきっかけに民主化が進んだ国と王政を維持している国がある。サウジアラビアは、今も王政を維持しており、民主化運動の波及を恐れている。

 原油収入を使った手厚い社会福祉制度を維持することで不満分子を抑えている。ただし、最近、原油価格の急落で財政が悪化し、社会福祉を削減しなければならなくなっていることがサウジを追い詰めている。原油以外の産業や収入源を増やそうと、サルマン国王が日本などに投資を呼びかけている。

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