「家づくり」と「要件定義」の類似点とは
家づくり編:住宅展示場での会話から考える「理想」と「現実」の落とし所
一戸建ての購入を漠然と考えている千石君。まずは住宅展示場で“市場調査”をすることにしました。4月某日、できたばかりの住宅展示場を訪れました。もちろん、千石夫人も一緒です。
千石夫人:今は集合住宅に暮らしているけど、やっぱり一戸建てに住みたいの。せっかくだから、間取りは自由設計にしたい。キッチンは対面型のシステムキッチンで、パントリ(収納スペース)は絶対必要よね。あと、天井は高いほうがいいわ。床暖房や浴室乾燥もほしい。あと……。
千石君:ちょっと待て。一度に言われても忘れるよ。まずはどんな家があるのか、何が必要なのか見て回ろう。
千石夫人:いろいろ見たら全部欲しくなっちゃうわ。
千石君:だったら、住宅アドバイザーに相談してみよう。第三者と話せば、装備したい内容や仕様が絞れるかもしれないよ。
……というわけで、二人は住宅展示場に併設されている住宅購入相談コーナー向かいました。
千石君:一戸建ての購入を考えているのですが、何を、どのような順番で、いつまでに決めなくてはいけないか分かりません。相談に乗っていただけますでしょうか?
住宅アドバイザー:もちろんです。まず一戸建てをご検討とのことですが、その理由をお聞かせいただけますか?
千石君:妻の要望です。
住宅アドバイザー:(冷笑)……失礼しました。家は大きな買い物ですので、先のことも踏まえて決める必要があります。重要なのは「家に何を希望するか」「家を購入する目的は何か」を、ご家族で明確にして、それぞれの優先順位を付けることです。一戸建てか、マンションかの形態選択は最後です。「土地や建物という物件」を選択するのではなく、「日々の幸せを実現する場所」という観点から、選び方を考えてみましょう。
千石夫人:で、お部屋は外国のリゾートホテルみたいな内装に……。
住宅アドバイザー:(無視)二人ともお若いので、将来はお子さまを持つことも考えられるでしょうし、ご両親との同居なども判断材料ですね。家族が何十年も快適に安心して日々の生活を送る場所なので、「その家でどんな生活をしたい」のか考えてみてください。ご安心ください。どんな“要件”が必要なのかを確認できるチェックリストを用意しています。それをもとにお二人でよく話し合ってくださいね。
アドバイザーから手渡されたチェック項目に目を通した夫婦は、話し合いが不足していたことに気が付きました。
住宅購入のためのチェックリスト
さて、千石君の家づくりの様子はいかがだったでしょうか。第一歩は「どうして家がほしいのかを夫婦で話し合い、目的と優先順位を整理すること」からです。もちろん、夫婦の希望だけではなく、将来の家族のライフスタイルや両親との関係なども含め、内容を検討していく必要があります。